大暑
今日は大暑。今日から暑中見舞いを送っていい日になります(笑) 年賀状もメールっていう時代ですから、暑中見舞いを送るという風習も廃れつつあるように思いますが。大暑は二十四節気のひとつ、陰暦6月下旬頃に辺り、いまのカレンダーならだいたい7月22日か23日。今年は22日です。この日から立秋までの期間のこともいいます。立秋は8月7日なので、暑中見舞い制作期間はおよそ2週間ということになります。
太陽黄経が120度のときで、快晴が続き気温が上がり続けるころと説明されますが、今年は関東以北はまだ梅雨明けしてないようですね。でも、明日ぐらいから晴れ間が続くとか。夏の土用が大暑の数日前、今年は20日から始まっていて、大暑の間中続くわけで、この最も暑い時期を乗り切るために、丑の日にうなぎを食べよう!という風習が生まれたのです。2週間もうなぎを食べ続けるわけにもいかないので、ま、丑の日にと。今年の丑の日は7月30日です。
なんで土用の丑の日にはうなぎかといえば、江戸時代中期に売り上げ不振のうなぎ屋から相談を受けた平賀源内が「今日は土用の丑の日」と書いた張り紙を出して、「丑の日には精の出るうなぎだよ〜」と宣伝したのがはじまりだと伝えられていますね「うし」の日には「う」のつく物を食べると身体によいという言い伝えをうまく利用したものだそうです。すごいですよね、江戸のうなぎ屋さんのキャッチコピーが200年ぐらい経ってもまだ生きてるんだから!
今年は中国産のうなぎがどうのこうのという話題もあり、30日の報道番組はうなぎ一色になるでしょうと予言でもしておきましょうか?(笑) さっきスーパーに行ったら、うなぎがワゴンセールになっていましたが、でっかく「国産!」って書いてありました(^_^;)
向島百花園
隅田川七福神、5つ目にうかがったのは、向島百花園の福禄寿です。七福神詣での発祥といわれる隅田川七福神の、そにはじまりがここにあるというわけですが、長命寺から約1キロ離れているので、根性を入れないと夏に歩くのはしんどいです。というわけで、日を改めて行きました(^_^;)
ここに福禄寿をお祀り
福禄寿は、文字通り、福(幸福)、禄(俸禄)、寿(長寿)を授けるものとされます。幸せに長生きできて、しかもベースアップも望めるのですから、いうことなし! 白髪で童顔、年齢は数千年といわれます。神様はみんな年齢は不詳でしょうけれど。
向島百花園は、江戸の町人文化が花開いた文化・文政期(19世紀初頭)に、骨董商を営んでいた佐原鞠塢が、交遊のあった当時の粋人たちと一緒になって花を鑑賞するために作ったものだそうです。当初は、360本の梅が主体で1805(文化2)年に「新梅屋敷」として開園されたのが始まりとされています。
その後、「詩経」や「万葉集」などの古典に詠まれている有名な植物を集め、四季を通じてさまざまな花を楽しめるようになり、明治時代まで庶民的な公園として人気をあったとのことです。1938(昭和13)年に所有者から東京市に寄付され、翌年から東京市が有料で公開を開始。1978(昭和53)年に文化財保護法により国の名勝および史跡に指定されています。
さほど広い公園ではありませんが、入口の庭門に蜀山人の扁額、両脇には詩大窪詩仏が書いた「春夏秋冬花不断」「東西南北客争来」の木板がかかっていて、芭蕉の句碑をはじめ、合計29の句碑や石柱が園内に建てられていて江戸の文化人たちの足跡をたどれます。
四季折々に花が楽しめますが、夏はナンバンギイゼル、トロロアオイ、アジサイ、トウゴウギク、モミジアオイなど。私は草花の名前にうというのでよくわかりませんが、けっこううっそうとした色濃い緑が迫ってきます。夏だなぁ。虫刺されにご用心!
大国魂神社「すもも祭」
毎年7月20日は大国魂神社の「すもも祭」が行われます。「くらやみ祭」ほどではありませんが、近隣の人々にはよく知られていて、かなりの賑わいをみせています。「すもも祭」は、源頼義、義家父子が、奥州安倍氏平定の途中で、大国魂神社に戦勝祈願をし、戦に勝って帰るときに戦勝御礼のために「すもも」をお供えしたのがこの祭の始まり。やがて境内にすもも市がたつようになり、いまに至っているのだそうです。
参道にはすももをネットに入れて吊り下げている露店がずらり。カゴをもらって、好きなものを選んでグラムで買うこともできます。どの店も、だいたい1袋1000円。いわゆる「すもも」とソルダムとか、ホワイトなんたら(^_^;)とか、けっこう何種類かのすももが並べられていました。
真っ赤なものもあれば、緑色の実で熟してるの?と心配になるようなものの。味見をさせてくれます。緑色のものも、これはそういう種類で、果肉はやっぱりほんのり甘いすももの味です。が、種類ごとに微妙に味が違い、うーん、どれがおいしいかと言われれば、悩ましいものがあります。
神社では「からす団扇」「からす扇子」を頒布しています。団扇が500円、扇子が1000円と1500円。考えようによってはけっこう不気味な柄ですが、五穀豊穣、悪疫防除、厄除のご利益があるそうです。
これで扇ぐと農作物の害虫は駆除され、病人は直ちに平癒するっていうんですけど、それでは医者は商売あがったり(笑) 玄関先に飾ると魔を祓い幸福が訪れるといわれ、われさきにと求める人でけっこう賑わっていました。去年、受けた団扇をお焚き上げのために返納する場所もあり、団扇や扇子を受けた人は来年も来なくちゃだめよ〜という感じですか(^_^;)
参道には食べ物を商う露店もたくさん出ていました。広島焼きの店が人気で、行列ができています。なるほど、焼いているにいさんの手さばきがなかなか軽妙。卵がずらっと並ぶと、なんとなく食べたくなっちゃいますよね。
川崎大師「風鈴市」
ちょっともどってきた暑さに誘われて、川崎大師の風鈴市をのぞいて来ました。18日からはじまって、23日まで開催されているそうです。今年で12回目だそうです。案外。新しい催しなんですね。
境内の一角に設けられた特設会場には約800種、12,000個の風鈴が全国から集められ展示即売されているそうで、今日はいい風が吹いていたこともあって、ちりりりーんと涼しげな音をたてていました。
一口に風鈴といっても、まあ、さまざまなものがあるんですね。素材もガラスあり、陶器あり、竹細工あり、鉄あり、墨あり、見て回るだけでも楽しめます。それぞれの産地や説明書きもあるので、ふーん、なるほど〜なんて。
沖縄のビードロ風鈴
大分の別府竹ふうりん 江戸風鈴 山形の山形ふうりん
買い求めている人より、「ふーん」「はーん」と眺めて、写真に撮っている人のほうが(私のように)多くて、商売になるのかいな?とか(笑) 1個何百万という豪勢な風鈴もどこかに展示されているらしいのですが、どこだかわかりませんでした(-_-;) まあ、風情を楽しむもので、値段じゃないやと探すのはやめちゃったんですけど。
大阪の寄せガラス風鈴 熊本の天草藍の風鈴 静岡の竹千筋ふうりん
青森の花笠ふうりん 秋田の御殿まりふうりん 山口のふぐ風鈴
焼きそばやたこ焼きの屋台も出ていましたが、人だかりがしているので行ってみると、猿回しをやっていました。懐かしいものを……と思ったけど、実は初めてみるものでした(^_^;) なかなか芸達者なお猿さんで。
川崎大師といえば、とんとこ飴が有名ですね。川崎大師の駅から参道入り口まではけっこうな道のりなんですが、参道入り口が近づいてくるとトントコトントンとリズミカルな音が響いてきます。初めて行ったときは「なんの音だろう?」と思ったのですが、道を曲がって参道に入るとその秘密がとけます。
ながーい飴を包丁でトントンと刻んで、一口大にした「とんとこ飴」を作りながら、売っているのでした。その包丁捌きが実に軽妙でリズミカルなので、しばし見とれてしまいます。どんな味かとついつい買ってもみたくなる(笑) 実は、これとは別な薬草入りの咳止め飴が“本当の”名物らしいんですけどね。
長命寺
弁財天は恋愛成就、学問成就の神様で七福神の中で唯一の女神様です。元はインドの水神で、どういうわけか後に学問、芸術の守護神となりました。もともとの出身が水の神様だったからでしょう、水辺に祀られていることが多いようです。
長命寺本堂の横には「長命水」という井戸があります。三代将軍家光が鷹狩りのときにお腹が痛くなり、ここの井戸水を飲んだらおさまったことから長命水と名づけられたそうです。これがのちに寺名となったそうですが、いまある井戸は新しい感じなので、改装したのでしょうね。長生きしたいというご希望のあるかたは、飲んでみたくなるのでは? 私はあまり長生きしたくないので、写真だけ撮りました。
長命寺は雪景色が美しく風情があることで有名だったということで、雪景色を詠んだ松尾芭蕉の雪見の句碑があり、十返舎一九の狂歌碑などのたくさんの石碑が残されています。
実はここは、門前にある桜餅屋のほうが有名? 江戸時代から続いている有名なお店です。1717(享保2)年、初代山本新六が隅田川土手の桜の葉を集め、塩漬けにして桜餅を考案して売り始めて大ヒット、それからロングセラーを続けているという「山本や」です。いまでも隅田堤の桜と門前の桜餅、ともに向島名物といえるでしょう。この店には正岡子規が下宿していたこともあるとか。