医療気功
思わず「ぐぇ〜」とか、「ぎゃひ〜」とか悲鳴が上がります。それでもやっているほうは知らんぷり。「サディストか!」という感じです。気持ちいいかも、という部分はどんどん飛ばし、痛い〜という部分ばかり集中攻撃(笑) それでもお願いするのは、そのとき痛くても、肩こりや腰痛などがものすごく改善するからなのです。
これは「医療気功」と呼ばれるものらしく、寝たきりだった人を歩かせるところまでもっていったこともあるのですから、ホンモノ。私はふくらはぎや足裏がとくに「ぎゃー!」という感じだったのですが、これは主として視神経、肩こりの経絡だそうです。膝の裏辺りを押しながら「腰もきてるねぇ」なんて言われると、膝裏でなんでそこまでわかるのよ! と、涙目になりつつ思うのでした……。
ガンガンやられたふくらはぎは、しばらくジンジンしています。「明日ぐらいまでは痛いかも〜」と涼しい顔で言われても……。それでも一家にひとりはほしいぐらいなのです。多くて3ヵ月に1回、普通は半年に1回ぐらいしか出会えないので、チャンスがあれば、やってもらいたいと思います。また、日本に住めばいいのに……。ちなみに肩こりは、ふくらはぎを椅子の角に思いっきり押し付けるというかたちでハードにマッサージ(の領域は超えますが)すれば、自分でも改善することができるそうですよ(^_^;)
ランチ
吉祥寺の街は、近年、横に横に広がっている感じで、前回は東急百貨店の裏辺りを攻めましたが、今回はヨドバシの裏辺りをウロウロ。この辺りは昔はラブホテルが建ち並び、ちょっといかがわしいニオイもあったのですが、最近は新しいおしゃれな店ができてるというウワサ……だったのですが、あまり、これといった店を発見できませんでした。結局は、かなり古くからある聘珍樓に落ち着いてしまったというわけです。
モモタロウと会うのは、なんだかとても久しぶり。なかなかタイミングが合わなくて、しばらく顔が見られませんでした。結果、エジプトの話やら福島の話やら、私がひとりでしゃべりまくっていたような(-_-;) すみません。という感じです。相変わらず、ボケまくった話が多いので、たぶん、あきれられているはずです(^_^;) どんなにあきれられても、共感して聞いてもらえるので、とてもありがたいです。判断に迷ったときはモモタロウに聞く。これ、鉄則です(笑)
福島、日本のグランドゼロ
線路も駅もあるのに人の気配のない常磐線の線路。私のような単純な人間は、すぐ「慣れ」てしまって、20μSv/h以上の数字を見せられ続けると、1.00μSv/hなどの数字を見て、「ああ、この辺は低いのね」という感覚になってしまいます。しかし、しかし、1.00μSv/hは低くない、低くない! 東京辺りでは、0.05などの数字で増えたの増えないのと騒いでいる(実際に各自の線量計で測ると0.15などが出るようですけど)のですから、桁がちがいます。一見すると美しい日本の田舎の風景が線量計を見ると……。本当に目に見えない、臭いもしないという物質に感覚的な怖さを感じられなくなるというのが、より怖ろしい感じがします。
帰町、帰村の動きが活発になっているようですが、いやいや、子どもはもちろん40歳未満の人は帰らないほうがいいのではないかと……。「村を守る」というのは、行政のあり方を守るのではなく、村人の健康を守るほうでしょうと思ってしまいます。「絆、絆」と連呼されて、なんだか「絆」という言葉が安っぽくなっていっているような気がする昨今ですが、高い線量の地域を「除染しました」と言ってその地に人々を帰そうとことは「福島を日本の捨石にするつもりかよ!」という感じを受けます。
南相馬のホテルはどこも満杯で、なかなか予約が取れません。これは、この地に働きに来ている人が多いため。住民の人口としては、震災前の4割ほどになっているとホテルの人が言っていました。ホテルでは人手が足りなくて、何度も募集をかけるのだけれど応募者がいないのだとか。ホテルの前の道路にはファストフード店や回転寿司、郊外型のショップの看板がずらりと並んでいましたが、おおかたは撤退してしまって、閉店しているそうです。チェーン店は人口当たり何軒という店舗の出し方をするので、オープンするほどの人口がないということらしいです。コンビニだけはたくさん営業していて、どこも大盛況。私たちもそうでしたが、食べ物屋が開いていないので、食事はコンビニで仕入れるしかない……。コンビニさまさまでした。
私は怠け者でものごとを深く考えることのできない人間なので、原発問題に積極的にかかわっているわけではありません。今回も「物見遊山」と言われるようなスタンスで福島に行ってきましたが、やっぱり行ってみてよかったです。テレビで特集がどんなに組まれていても、ついつい日常に紛れて忘れがちになる「福島」の存在を、少しばかり身近に引き寄せて考えることができました。
あまりに広範囲で……
仙台市のはずれ、若林区あたりまで行ってみました。南三陸に知り合いがNPOで入っているので、そちらまで行ってみたいなとも思ったのですが、同じような荒涼とした津波の爪痕が果てしなく続く感じで、ちょっとめげて、もう一度、南相馬に戻りました。カメラマンさんがもっていたのは「復興支援地図」というものです。地図上には津波被害のあった場所に色が塗られ、通れない道路などが表示されています。実際に走ってみると、あの日から1年経って、道路はかなり復旧しているようです。
これまで、支援物資を運んだりするためにもこの地図は大いに役に立ったに違いありません。価格も1,000円弱で、なかなかのすぐれもの。4月頃にはもう発売されていたようで、「昭文社さん、やるじゃん!」という感じです。カメラマンさんが偶然、手に入れたのが5月。そのあと探し回った人がいたそうですが、すでに完売だったような。被害状況を示す資料にもなります。1年経って、どのくらい復旧が進んだのか、そろそろ改訂版がほしいところですね。
その地図上の1点に私たちはいるわけですが、その1点から見る風景は、限りなく何もない……。瓦礫を処理しているショベルカーは数えてみたら1ヵ所に20機が働いていました。その1台、1台がまるでアリンコのように見えるほど、何もない地面が広がっています。復旧、復興の速度が遅いという苛立ちの声をよく耳にしますが、この広さじゃ、そう一朝一夕には……と思わされます。地図上の1点でこれだけの「何もない」地面が広がっているのに、地図にはべったりと広範囲に色がついているのですから。もっと北のほうをみれば、岩手県に向って海岸線は広く色付きです。
14人の生徒が犠牲になった閖上(ゆりあげ)中学校、正面の時計が「その時間」を指したままとまっています。まだ引き取り手のない写真や品物が展示されている体育館に立ち寄りました。泥にまみれたランドセル、卒業証書や家族写真、ボランティアの人々の手で、できる限り整理されています。こんなにたくさんの物がまだここにのこされているということは、避難したまま帰ってこられない人の物もあるでしょうし、一家がみんな亡くなってしまったということもあるのかもしれません。泥だらけのランドセルに、思わず立ちすくんでしまいました。1年も前のできごとだったとは思えない……。
再び南下し、南相馬、浪江、飯舘のあたりを走っていると、どの道を行っても必ず「立入禁止」の看板に出会います。ここらがプラントから約20キロの地点ということです。ところどころに迂回路や通行止め道路の位置を示す看板なども見かけました。けっこう狭い道をくねくねと登って行った先には三重県警。近くにクルマが寄ってきただけで警察官が飛び出してきて「ダメ、ダメ」の合図を送ってきます。中に入りたいと思って近づいたわけではないのですが、適当に曲がって、曲がって走っていると、すぐに「立入禁止」にぶつかってしまうのですから、いたしかたありません。最初の地図には載っていない通行止め……。
愛猫家!
長泥地区から国道を少し峠を上っていくと、クルマの中でも急に数値が上がる場所があります。谷からもろに風が吹きつけてくる場所だからだそうです。ここに谷に向って1軒の家が建っていました。もちろん、無人。そこに1台の乗用車が走ってきて、停まりました。中から出てきた女性が、何かをもって家の中へ。滑る、滑るの雪の中を何を運んでいるのだろうと思ったら、「猫のエサ」でした。
月に2、3回、東京からエサをやりに来るそうです。猫好きの方というのは、とんでもない情熱をもっている方が多いようですね。私は、とりわけ猫が嫌いでも好きでもありませんが、こういう情熱はなかなか理解しがたく、むしろ「クルマを1台、福島に置いてあって、来るのは新幹線で」と言う、その財力に恐れ入りました。金持ち! 私たちは、1度来るにも木賃宿に泊まり、コンビニでご飯を食べてる……(笑)
その愛猫家の女性が、ものすごく立派な線量計を持っていました。ガイガーカウンターなんて、立派な名前で呼んでもOKという感じで、研究者たちも使っているものだそうです。ナノグレイ毎時(nGy/h)という単位で計り、1 nGy/h (ナノグレイ毎時) = 0.0008 μSv/h (マイクロシーベルト毎時)ということです。いずれも放射線によって人体に与えられたエネルギー量(被曝量)」を表すものですが、次々に新しいカタカナ言葉が登場し、素人は混乱するばかり……。
この立派な線量計と我がおちびちゃんの簡易線量計で同じところを計ってみると、ほとんど同じ数値が得られました。ちょっと老けたおちびちゃんでも、立派に仕事をしていることがわかり、ひと安心(^_^;) おちびちゃんは100μSv/hまでしか計れないのですが、この立派なのはいくつまで計れるのでしょうか。側溝の脇の草地で、この機械のメーターが振り切りました。「見守り隊」の方は、「ところによっては、軽く300を超えてるんじゃない?」とフツーの口調でいいましたが、ここがそこかも……。誰でも通れる天下の大通り、国道脇ですよ! いやはや、驚きました。