甲斐霊場めぐり
私は別に悪行を重ねたつもりはありませんが(^_^;)、もし、後になっちゃったら汚れ水を渡らなきゃならなくなるし、ここはひとつ、お付き合いしましょうってんで、甲斐百八箇所霊場めぐりを敢行することにしました。簡単にいえば、要するに運転手。煩悩の数と一緒だし、ちょうどよいのではないかと。いっぺんには無理なので、ちょっとずつね。
霊場はどこでもよかったんだけど(^_^;)、都内は移動に混雑が見込まれるところも多いし、今年は風林火山だろうというので、あっさり山梨県に決定! いいかげんなもんです。ついでに山本勘助の墓参りでもしてきますか<いっぱいあるらしい
というわけで、第一番「善光寺」に行ってきました。一般には甲斐善光寺といわれています。武田信玄が長野の善光寺からご本尊を奪ってきて祀り、また奪い返されちゃって、いまは別の阿弥陀如来がご本尊とか。善光寺というのはもともと土着信仰と関係が深いらしく、調べてもいないのでわからないのですが(無責任!)、けっこう全国に善光寺という名前のお寺がたくさんあるようなんですよね。
甲府は、ちょっと高台のほうに行くと、本当に街全体が見下ろせます。そして山を背負い、三方も山。盆地なんだなぁとつくづく感じられます。今日はめちゃめちゃ蒸し暑かったですが、梅雨の晴れ間で、富士山もくっきり見えました。この高みから富士を目前に拝し、集落全体を見下ろすと、武田信玄ならずとも「要塞堅固っ!」って感じがします。
宝鏡寺(甲斐霊場第27番)
宝鏡寺ではたくさんの羅漢さんが出迎えてくれました。本堂の脇、庫裏の前には白砂の庭があり、羅漢さんを眺めながらゆっくり休憩できるようにもなっています。羅漢さんは一つ一つ表情が違うので、本当に見ていても飽きませんね。
このお寺は、1346(貞和2)年、北条重時の息子である鶏岳永金という僧によって開山されたそうです。境内は広々としていて、庭園も手入れが行き届いています。が……、犬が一匹、放し飼いでウロウロしていて、私は固まってしまいました。お寺の犬なのだから、殺生はしまいと思いつつ、やっぱり知らない犬はねぇ。この辺の家では放し飼いは当たり前なのでしょうか。まあ、広いから、他人に迷惑のかかることはないでしょうが。
本堂の右手にある庫裏は300年以上前に建てられたものだそうで、間口7間、奥行15間といいますから、12メートル以上、奥行きは27メートルぐらいですか。1間って1.8メートルですよね? 古い木造の家としてはかなり大きなものです。
本堂の裏山には羅漢堂があり、旧山門を取り壊したときの門柱を材料にして彫った十六羅漢をはじめとする100体以上の羅漢像があり、毎年、増えているのだとか。庫裏の廊下から108段の階段を上ると羅漢堂に行けるそうです。私たちは残念ながら羅漢堂までは行かれませんでした。
羅漢堂のある裏山には、県の天然記念物に指定されているヤマブキソウが群生していて、4月下旬から5月上旬には山を黄色に染めるそうです。この群生地は1万坪はあるそうですから、きっとすごい迫力なのでは? この時期には多くの人がヤマブキソウを見に訪れるようです。ヤマブキソウは、ヤマブキに似た黄色い花で、ヤマブキの花弁が5枚なのに対し、こちらは4枚。この山にはヤマブキソウばかりではなく、エンレイソウやイチリンソウなどの山の花が咲き乱れるそうです。うーん、やっぱりお寺めぐりは春がよさそうですね。
西方寺(甲斐霊場第28番)
山門はがっしりとした武家門で、このような造りは寺院には珍しいものだといいます。境内は広々としているのですが、がっしりとした門にはかっちりと車止がしてあり、入れないか? とりあえず、交通量も少ないしと門に横付けしてしまいました。
境内をお掃除していた人が飛んできて、誰か来ると困るから中へ入れと。入れるのかな〜と恐る恐る車を進めたら、ぎりぎりで通過しました。甲斐は相変わらず教習所状態です。
甲斐……といっても、20番台の霊場は、富士山の近くに散らばっている感じで、あまり「甲州」という感じがしません。甲州へ行けばどこでもお目にかかれる「信玄のなんとか〜」というのもまったく見かけることがなく、大河ドラマ風林火山どこ吹く風という感じ。そういえば、どこのお寺にも「風林火山」の幟ははためいていないようです。
富士山麓はすっかり秋の気配で、静かな境内にも落ち葉が舞っています。車を誘導してくれた人は、再び箒を手に取ると、これを黙々と掃いています。門を入るとすぐ左側に十一面観音を祀った観音堂があります。郡内三十三観音の8番札所だそうですが、残念ながら十一面観音は秘仏で拝観はできません。
屋根が鮮やかな庫裏を訪ね、御朱印をいただきました。「どちらから?」と聞かれ、「東京です」と答えたら、「遠いところからご苦労さま」と御朱印と一緒にクッキーとキャンディをいただきました。