ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2007/10/23  (火) 

真蔵院(甲斐霊場24番)

真蔵院は第23番の福泉寺とは目と鼻の先。しっかり道も教えていただいたので迷わずに到着……したのですが、道の下にあるため行き過ぎてしまって戻ってきました。ちょうど住職さんのところにお客様があり、この方が話し好きなおじいさま。そして、お寺や史跡をめぐるのが趣味とかで、撮った写真をたくさんみせてくださり、いろいろこの地域の史跡のお話をしてくれました。
 
このお寺には貴重な木彫りの「七社権現立像」と「木造十一面観音像」があります。普通は事前に連絡をしないと見せていただけないもので、この日は宝物殿の扉も閉ざされていたのですが、おじいさまのお話をうかがっているうちに住職さんが鍵を持ってきて、開けてくださいました。この像を見なければ、このお寺に来た意味はないというようなものですから、本当にラッキー! 本堂や宝物殿は比較的新しい建築のようです。
 
真蔵院は、かつては岩殿山一帯にたくさんの伽藍を持ち、山全体を寺域としていた天台宗「円通寺」の別堂だったそうです。円通寺は、15世紀頃には、修験道の中心地として栄えていたそうです。それが廃寺となり、円通寺に祀られていた七社権現立像と十一面観音像が真蔵院に移されたのだとか。もともとは岩殿山の中腹にある洞窟に祀られていたものです。小1時間の山登りで、この洞窟跡へ行けるのですが、体力的にも装備的にも無理、無理(^_^;) もうちょっと身体を鍛えてからでないと遭難してしまうのがオチですね。
 
七社権現立像はそれぞれ伊豆、箱根、日光、白山、熊野、蔵王、山王と名づけられていて、高さはいずれも2メートル前後、ヒノキで作られています。室町時代の作で、非常に珍しいものですから、もちろん県の重要文化財に指定されています。木造十一面観音像は時代はわかっていないのですが、もっと古いものだと思われるとのこと。
  
山の中腹にあるという立地のせいか、お寺の前面は石垣です。お寺ばかりではなく、近所の民家も石垣が作られているところが多いような。「なにか理由は?」と伺ってみたのですが、「別に……」と(笑) 石垣に隠れるように萬霊等がひっそりたたずんでいました。庭の石仏にもいろいろな由緒があるそうですが、ほんの立ち話だったので、全部は伺うことができませんでした。今度、レコーダーで持って……と思っても、そうそう機会もないのではないかと残念です。こういうの、一期一会というのか、そのときできなかったことって、次のチャンスってなかなかないんですよね。



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2007/10/22  (月) 

潮風公園

お台場はすっかり観光地になった感がありますが、繁華街にはあまり縁のない私は潮風公園なんかに行っていました。といっても、駐車場ですが(-_-;) クルマを停めて、ちょっと海のほうへ行ってみました。見渡す限り重機で……、これが東京の海なんだなぁと。こんなところで魚が獲れるなんて、信じられな〜い!という感じです。
 
潮風公園は、かつて13号埋立地の一画の「13号地公園」と呼ばれていたところ。その後、改修工事が行われ「潮風公園」になりました。お台場海浜公園より広くて、臨海副都心内では最大の公園なのだそうです。レインボーブリッジや高層ビルなど都会的な風景を楽しむことはできます。
 
船の科学館のFやOの点滅を眺め、視線を下げると噴水広場がありました。季節的にはちょっと寒いかな。この公園の一角に木造船の形をした「しおかぜ丸」があります。平日だったので子どもたちは遊んでいませんでしたが、そのかわり団体バスで訪れた人々でしょうか、いい年をしたおじさんやおばさんが滑り台を滑り降りて遊んでました。童心に返りすぎ?(笑)
 
振り返れば、フジテレビを背景に「ゆりかもめ」が走ってきました。音が静かですよね。近づいてくるのがわかりません。晴れた日には、コーストデッキから富士山も見えるそうです。私が行ったときは、残念ながら見えませんでしたが。
 
潮風公園の南駐車場では、平日はよく雑誌などの撮影が行われています。この日も自動車の撮影と、マネキン人形を持ち込んで衣類らしきものの撮影が行われていました。ここにいたのは30分ぐらいですが、広々としていて、あまり人の姿も見えず(平日だから)、かなり気持ちよく潮風で深呼吸してきました。東京湾でもちゃんと潮の香がするんですよ(笑)



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2007/10/21  (日) 

福泉寺(甲斐霊場23番)

福泉寺へ行くに当たっては、またまた迷い、急坂を登った瞬間に行き止まりの民家の庭に突入。両脇いっぱいで、バック以外に身動きが取れない状態になりました。放し飼いのすごく怖い顔をした2匹の犬に吼えられ、クルマから出ることさえもできなくなり、命がけでバックするしかないかとちょっと青くなったかも。そこへ、犬の鳴き声で家の人が出できました。正しい道を教えてもらい、そして、質問。「これ、どうやって出るんですか?」。すると、「バックで」と、いともあっさり。バックで30メートルぐらい下がって、下の家の庭へ入れて向きを変えればいいそうな。ひぇ〜、だけど、とりあえず、まっすぐ他所様の庭へバックで入れました。そこから出るのもすれすれです。私にとっては甲斐霊場めぐりは、巡礼ではなく甲斐教習所だと判明。
 
始めた頃は暑い、暑いと文句を言っていたのに、いつのまにやら秋の空になっています。お寺の駐車場に停めて一息つくと、柿がたわわに実っているのを見つけました。山門から境内へ登っていくと、お経の声が聞こえてきました。お寺めぐりをして23件目で初めて聞くお経です。ここは浄土真宗のようです。法事をなさっているらしく、境内にクルマが停まっています。えっ? どこから上ってきたのだろう? 境内で待っているとまもなく法事は終わり、法事の方、軽自動車だったけど山門からクルマで(数段ですが)階段を下りていきました! まったく、甲州には驚きがいっぱい(笑)
  
法衣の住職さんがでてきてくださって、本堂にもお参りさせていただき、いろいろご説明もいただきました。本尊は釈迦如来で、座底に1545(天文14)年の銘があり、お寺は鎌倉建長寺の末社としてその頃に創建されたらしいとのこと。2度の火災に会い、1788(天明8)年に諸堂を焼失。現在の堂は1821(文政4)年に完成したものだそうです。本堂の中の杉戸には鳥や花、墨絵の龍などが描かれていて、まるで時代劇の世界へ迷い込んだようです。

住職さんは22代目だそうです。「お寺の維持はとても大変ですが、この杉戸などはやはり大事に守っていきたいものですから」とおっしゃっていました。御朱印代をお渡ししようとすると、「では、ここへ」と募金箱を示されました。それも23件目にして初めて。まったく商売っ気なさそうで、これでは確かにお寺の維持も大変かもと。大きなお世話ですね(^_^;)
  
境内の杉の木は、樹齢400年を超える大木。時代は不明ながら、1度目の火災の後に植えられたらしいとのことです。境内が崖の上にあるという感じで、根は崖の下にあるため、根の部分が広がっておらず、地面からすくっとまっすぐ立っているのが印象的でした。

  



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2007/10/20  (土) 

川越まつり

川越氷川神社のお祭りへ行ってきました。川越まつりは重要無形民俗文化財に指定されている山車の華やか運行が見もので、年々、人気が高まっているようです。街中が車両通行止めでしたが、人間だけで渋滞するほどの賑わいでした。広い道は両側に露店が立ち並び、お神輿や山車を追いかける人の群れがぞろぞろと移動していきます。今年は川越城築城550年記念と川越市制85周年記念ということで、よりいっそう華やかなのでしょうか?
 
川越まつりは、川越氷川神社の神幸祭として行われていますが、その華となる山車は29台あるそうです。そのうち、今年、曳かれたのは16台。勢ぞろいするのは10年に1度ぐらいだそうです。16台だって、全部を見るのはなかなか大変です。市役所の前で山車揃いが行われますが、これも全部ではなく半分ずつらしいです。2時から行われるというので行ってみました。そのときは8台が揃っていて、あとから1台到着。ずらりと並んだ山車は壮観です。
 山王の山車(高沢町)

           鈿女(大手町) 

 弁慶(志多町)

鏡獅子(新富町二丁目) 

 重頼(仲原町)

           家康(脇田町) 

 猩々(川越市)

遅れてきたのは「一本柱万度型」の山車でした

 
1台ずつお囃子と舞を披露し、全部の山車が終わると1台ずつ街へと繰り出して行きます。これらの山車が去ったあと、今度はもう一つの部隊がやってくるのでしょう。その前に、残りの7台を探しに賑わう道へ出かけていきました。
回されている家光発見

 獅子は街の舞台と競演 

 
山車の通る通りのところどころに、舞台が設けられていて、ここでもお囃子と舞が行われています。山車が通りかかると、山車の舞台と向き合ってお囃子と舞の競演が行われます。こういうときには山車の舞台がぐるりと回ります。そういえば、道路を直角に曲がるときにも舞台がくるくると回っていました。後ろからついて行っても、ちゃんと舞台を見ることができるんですね!
電線邪魔ですね「道灌」 


こんなに大きな山車が動き回るからでしょうか、お祭りの範囲はすごく広くて、7台全部を見つける前に疲労困憊(-_-;) 道路の脇に幾つか設けられている広場のようなところで一休み。したら、歩く元気がなくなった(笑)
 
夜になると交差点で山車同志が出会い頭にお囃子の競演をするという「曳っかわせ」というのが行われるそうです。山車の喧嘩?(笑) まさか喧嘩ではありませんが、違うテンポのお囃子を負けじと演奏しあい、舞を競うそうです。それを見るために午後遅くなってからも多くの人々がまだまだやってきます。
  
川越は「小江戸」と呼ばれていますが、幕府の大老や老中が川越城の藩主になっていたので、江戸文化がそのまま引っ越してきたような生活だったそうです。江戸ぶりというのでしょうか、それも明治の終わりごろからは、山車は本家江戸の天下祭りを追い越してしまうほどの隆盛をみせていたそうな。そして、やがて江戸の祭からは山車が姿を消し、神輿一辺倒になっていったため、もっとも豪華な山車が見られるのは川越ということになったようです。
  
川越へ行ったのは初めてではありませんが、何かの用事でクルマで街を通過しただけ。ゆっくり歩いてみたいなぁという街ではありましたが、なかなかチャンスがありませんでした。今回、ゆっくり歩いてみると、本当に歴史ある建物がたくさん残っていることに気づかされます。お祭なので街中に紅白の幕が張り巡らされ、建物も今日は脇役なので、また、ゆっくり、今度は街並みを楽しみに来てみたいなぁと思いました。お祭りは明日もやってますよ〜。

 

縁日ガイド」でも写真を紹介しています。



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2007/10/19  (金) 

猿橋

花井寺へ行く途中に、猿橋を通過します。「猿橋」と聞けば「バス停付近」と無意識に続けてしまうほど中央高速の渋滞の名所。ラジオの交通ニュースではお馴染みの地点だというほどの知識しかありませんでした。それも、単なる地名でしかなく、そこに「橋」があるという認識すらなかったといってもいいでしょう。高速道路上には「橋」はありませんしねぇ。保福寺の住職さんが、「そばを通るんだから、ぜひ見ていきなさい」とおっしゃったもんだから、ちょっと寄ってみることにしました。確かに甲州街道の曲がり角には「日本三奇矯」という看板が出ています。しかし、行ってみれば単に木の橋がかかっているだけ。奇矯? これが? と思いながら、橋の上に立ってみると、眼下はすごい渓谷。ちょっと足がすくむ感じです。
 
この風景が「奇」なのか、と思いました。確かに怖いくらい迫力があります。でも、「三大」というほどなのかなぁ。引き返しかかると階段のところに「展望台こっち」の標示があります。降りる? 展望台なのに? と思いながらも階段を降りかかって、振り返ると、……これが奇矯だったのだ! 橋桁に屋根がいっぱいついているとでもいうのでしょうか。本当に奇観です。ご存知の方は何をいまさらとおっしゃるでしょうけど、はじめて見ると口があんぐりといった感じです。
 
帰ってきてから、ちょっと調べてみました。長さ31メートル、幅3.3メートル、谷からの高さが31メートルあり、橋脚がたてられないために両岸から張り出した四層のはね木によって橋を支えているのだそうです。急流や渓谷などでの架橋には橋脚なしで橋を渡す技術が必要で、一般には吊り橋ということになるのですが、江戸時代の日本にはもう一つ、刎橋という形式があったそうです。刎橋は、刎木という太い丸太を斜めに石垣の中に埋め込み、残りを川に突き出させてその上に橋桁を乗せ、橋脚なしで橋を架ける技術。江戸人って、ほんとに創造的なアイデアに富んでいたんですね。
  
江戸時代にはこのような構造の橋はけっこうあったらしいのですが、当時から猿橋がもっとも有名で、日本三奇橋の一つとされていたそうです。安藤広重の「甲陽猿橋之図」や十返舎一九の「諸国道中金之草鞋」などで紹介されているのだとか。ちなみに「三大」のあと二つは「岩国の錦帯橋」「木曽の棧」でした。猿橋は景観の美しさとともに1932(昭和7)年に国の名勝に指定されています。でも、この猿橋、実は1851年(嘉永4)年製の橋の復元。H鋼を使い、岸の基盤をコンクリートで固めて、1984(昭和59)年に架け替えられたそうです。
 
渓谷の奥に見えるのは東京電力の駒橋発電所で利用した水を下流にある上野原八ツ沢地区の発電所で有効利用するために架けられた水路で、こちらも1997(平成9)年に文化財に登録されています。



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花井寺(甲斐霊場22番)
広教寺(甲斐霊場26番)