ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2008/08/11  (月) 

わにもっこ

そもそも青森に行った理由とは、友人の製作したステンドグラスの納品でした。厳密にいえば、製作ではなく、修復。このステンドグラスは昭和の初期に作られたもので、持ち主が没落し、お寺さんが預かっていたのだとか。保管の仕方がわからず、そこら辺に置いてあったため、ガラスが歪んだり、反ってしまったり、割れてしまったりしていたそうです。その修復を請け負ったのが、友人たち、ステンドグラス職人の面々。修復という作業は、アーティストとしてはストレスがたまる部分もあるのではないかと思いますが、見事、職人に徹して復元したもようです。

 

完成したステンドグラスをそのまま置いておいたのでは元の木阿弥になりかねないので、持ち主のお寺さんが、「木工で木枠を作って衝立にしよう」と目論まれたのだとか。そこで、修復のなったステンドグラスを持ち込んだのが「わにもっこ」です。青森は「ひば」をはじめ、家具や木工材料になる素晴らしい材木の産地。大鰐にある木工工房「わにもっこ」では、これらがシンプルで木の香りが漂う素敵な椅子やテーブル、木のおもちゃ、食器などに加工されていました。ここで、修復されたステンドクラスにも立派な枠が作られるのだそうです。

 

「わにもっこ」が設立されたのは1988年。頑固で無口な職人のおじいさんが黙々と木を刻んでいるのかと思いきや、元気いっぱいの青年たちばかり。しかも、イケメン揃いで(^_^;) 隣にある展示館「こかげ」には「わにもっこ」で制作した小物や家具が置かれています。

 

どれ一つとして同じもののない手作りの暖かみと木のぬくもりが伝わってくる逸品が並んでいます。「いつか、こんな家具の置ける家に住みたいなぁ〜」と、入れ物のほうから考えなければならない自分が情けない(-_-;)

 

裏手にある「ひばのくに迎賓館」は総ひば造りのログハウス。宿泊することもでき、季節の山菜など、山ならではの料理を提供してくれるそうです。もちろん、コーヒーを飲みながら、のんびり過ごすだけでもOK。

 

「わにもっこ」あるところは、ほら、こんなに美しい山の緑に囲まれているのですから。



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2008/08/10  (日) 

酸ヶ湯温泉

八甲田山に「酸ヶ湯温泉」という温泉があります。1684年(江戸時代前期)かある温泉で、古くから湯治場として栄えていたそうです。学生の頃に一度、来たことがあり、そのときは混浴でした。確か大きな浴槽が2つと打たせ湯があった記憶があります。今回は入浴予定はありませんでしたが、「いまでも混浴なのかなぁ」と温泉入口を見に行ってきました(笑) いまでも混浴でした。そして、入口に「混浴を守る会」の心得が掲示されていました。そうです、混浴に入るなら、マナーを守りましょう!

 

その若かりし頃、ここへ遊びに来た私たちは、「せっかく来たのだから、千人風呂というのに入ってみよう!」と、勢いで混浴に入ってしまったのでした。「ひば千人風呂」という大きな湯船があって、おおむね右端に男性が、左端に女性が浸かっていました。さすがに入っている女性は少なく、それもどちらかといえば年配の方々で。
 
 そこに20代前半が3人ほどで飛び込んじゃったのですから、まあ、ある程度は見られてもしかたがないなぁと。一緒に行った仲間の男の子たちとは時差をつけたので、「知らない人なら、いっか〜」というわけです。男性入浴者は、たいがい見て見ぬふりをしています(笑) ところが、ひとりのおじさんが、仲間か家族かしりませんが、おばさんに話しかけながら女性の陣地に入ってきて、目はひたと私たちのほうを見たまま、一瞬も目をそらさないのですよ。さすがに出られなくなっちゃって……。最後はのぼせて倒れる寸前で、ダッシュで逃げ出しました。これは違反行為ですよねぇ(-_-;)
 
という思い出の地(笑) 温泉は入らず、お蕎麦を食べてきました。色白のお蕎麦なのにコシが強くて、おいしいお蕎麦です。一緒にいただいた麦とろご飯もおいしかった! やはり、水がいいからでしょうか。店内にも「ご自由にお飲みください」の湧き水があり、温泉の駐車場の脇にもおいしい水が湧いています。さっそく空いたペットボトルに詰めて、持ち帰ることに。冷たくて、顔を洗うだけでも気持ちがいい !もっと大きなタンクを持って来ればよかった! といっても、旅先のこと。ひとっ走りで水を汲みに来られる距離に住んでいらっしゃる方がうらやましくなりました。
 



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2008/08/09  (土) 

烏城焼

津軽で「烏城焼(うじょうやき)」という窯に出会いました。弘前と十和田湖の間ぐらい、岩木山を一望できる丘にある三筋工房。国際公募美術家連展総務大臣賞を受賞している作家、今井理桂さんの工房です。訪ねたのは、ちょうど窯から新しい作品が取り出された日だったようです。理桂さんの作品には「理」のマークが入っています。手に持ったときの質感が、柔らかく、しっくりと収まる優しさがあります。お弟子さんの作品も並べられていましたが、こちらにもなかなか素晴らしいものがありました。
 
前日に、理桂作品のカップでビールをいただいたのです。単なる缶ビールだったのですが、そのビールは普通のグラスに注ぐより、ずっとキメの細かい泡になり、味もマイルドですごくおいしいビールに変身していました。私はビール党ではないのですが、これならイケル!という感じ。このカップでお茶をいただいてもすごくおいしそうだなぁと思ったのです。それで、この工房へつれてきてもらったというわけです。
 
三筋工房では窖窯と登り窯で焼成しています。薪は主に赤松で、釉薬はいっさい使用せず、すべて自然釉なのだそうです。自然釉とは、窯の中で薪の灰が作品に付着し、それが高温になって融けたもの。長さ15メートルの窖窯と長さ100メートルの登り窯を使って、この素朴な色合いの、しかし見事な作品が作り出されています。今後、登り窯は長さ150メートルにする予定だとか。これが完成すると世界最長の登り窯になるそうです。
 
工房にはギャラリーと津軽茶道美術館が併設されていて、理桂作品の大きなツボや古伊万里などの素晴らしい作品も展示されています。そして、サロンでは作品の茶碗で一服のお茶をご馳走になりました。うーん、やっぱりお茶もおいしくなっていたように感じます。貧乏を質に入れて、カップを一つ、ついに買ってきてしまいました〜(^_^;)

 



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2008/08/08  (金) 

ピラミッドとキリストの墓

十和田湖から八戸に向かってしばらく走ると新郷村というところを通ります。ここにはキリストの墓とピラミッドがあることで有名? でも、ないでしょうね。知り人ぞ知るレベルかな(笑) 
 <キリストの墓>
キリストの墓の存在を知ったのは、SF伝奇小説というのでしょうか、「黄金伝説(半村良著)」で、物語もおもしろかったのですが、戸来(へらい/新郷村の旧名)がヘブライに通じるとか、たぶんにこじつけ感がありつつ、地名の類似性を引っ張り出してきたことにひょっとして?と思わせるおもしろさがありました。この地方には、古くから「ナニャドヤラ」という盆踊り歌が伝わっていて、この歌の歌詞「ナニャドヤラー、ナニャドナサレノ、ナニャドヤラー」は日本語では意味不明なのですが、ヘブライ語で聞くと神を称える内容になっているという説も紹介されていたのではなかったでしょうか。
<弟イスキリの墓> 
読んだのはずいぶん昔で、そういう系の話が大好きな私は(笑)、読んですぐ行ってみたことがあります。あれから、何年たつのかな? その頃は、道路からちょっと登ったところに木の十字架の立てられている土饅頭が二つ……、なんだこれだけ? まあ、そうだろうな、という感じだったのですが、今日、ちょっと足を延ばしてみたら、すっかり整備されて「キリストの里公園」とやらになっており、さらに「キリストの里伝承館」という建物が立っていて資料が展示されていました。すっかり観光地になっているようで、半村良氏も貢献してるのかな?(笑)
 
もともとの新郷村のキリスト伝説というのは「キリストは22歳のときに日本に渡り、33歳のときにユダヤに帰って神の教えを伝道。捕らえられて十字架刑に処せられることになったのだが、実は磔になったのは弟のイスキリであった。生き延びたキリストは、再来日して日本女性と結婚し、この地に没した」というもの。で、ここにキリストの墓とイスキリの墓がある、と。まったく実証されていない説ですが、イスラエル文化とのいろいろ不思議な一致点もあるようで、なかなかおもしろみはあります。
 
キリストの墓の近くには、「大石神ピラミッド」というものもあります。今度は、半村良プラス高橋克彦の世界って感じ(^_^;) 国道をそれると未舗装道路で……。今日もまた(-_-;) 少し進むと未舗装ながら道が広くなってクルマも止められる「ピラミッド前」に到着。こんなところを見物にくる物好きはいないだろうと思ったら、先客が1組。私たちの後から1組。あらら、そんなにメジャーなの?(笑)
 
日本にもいくつかのピラミッドがあり、ピラミッドそのものは日本のものこそオリジナル……、というのは高橋克彦の世界。この「大石神ピラミッド」がそうであるかどうかはしりませんが、日本にあるピラミッドはいずれも自然の山を利用したもの、という説通りではありました。太陽石、方位石、星座石、鏡石などの名前がついた大きな岩がいくつか折り重なっている感じです。
 
600メートル先に「上大石神ピラミッド」というのもあるというので、果敢に未舗装道路を前進。轍の間にはぺんぺん草が生えているような道で……。すいぶん人もクルマも通ってないんじゃないでしょうかね? お腹をこすらないように、こっちの高みにタイヤを添わせ、凹んでいるところは避け……、ん? 600メートル? もう、2キロぐらいは来ちゃった感じだけど……何も見つかりません。
 
すれ違い用にちょっと広くなっているところで、うんうん言いながらUターン。戻り始めると、さきほど「大石神ピラミッド」前で出会ったクルマたちが前方から上がってくるではありませんか! しばし、見詰め合って、負けて、バックを開始しました(笑) いっくら甲斐で鍛えているとはいえ(-_-;)、直進でさえ慎重さを要求される道で、30〜40メートルは下がったでしょうかねぇ。にっこり笑って挨拶されても嬉しくない!(笑)
  
で、元へ戻るほんの少し手前に崖に上るような急勾配の朽ちかけた階段のようなものを発見。「きっと、ここだったんだ!」ということになりましたが、山道にクルマを停めるスペースもなく、「ま、いっか」と素通りする結果となりました(-_-;) あとでキリストの里公園の駐車場で、お見合いしたクルマと再び出会い、そちらも同じように戻ってきたとか。「何かありました?」と聞かれ、「たぶん、あそこだと思うんだけど……」と笑い合ったのが話のオチでありました。
 



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2008/08/07  (木) 

五所川原立佞武多

今日は五所川原の立佞武多、これで「たちねぶた」と読みます。文字通り、青森のねぶたに比べると、幅は小さいのですが、高さがあります。見上げれば首が痛くなるほど! これで、ねぷた・ねぶたをすべて制覇(笑) 3日間で3つのお祭りを巡る忙しくも楽しいお祭りめぐりでした。
 
五所川原の立佞武多は、青森や弘前ほどメジャーではありませんが、明治時代には盛んに行われていたそうです。その後、衰退していましたが、10年ほど前に本格的に復活したそうです。「やってまれ、やってまれ」、「そーれ、そーれ」という掛け声も勇ましく、特別な跳人の衣装ではなく、普通の夏祭りの衣装というのもいい感じです。高校生や婦人会らしい方の踊りは、そろって元気がよく、楽しそう!
  
五所川原に行く前に、白神山地、といってもトバクチぐらいですけど、暗門の滝まで行ってきました。往復3時間、ヘロヘロになって歩いてやっと生還。核心の地までは行かれない(装備、体力とも!)ものの、ここでもブナの森は美しかったです。
 
その後、未舗装道路を通って、ほうほうの体で津軽峠に登り、ブナのマザーツリーを見に行き、延々と連なる未舗装ワインディング林道を鯵ヶ沢まで下り、猿にも会いました、雉にも会いました、桃太郎にも……さすがに会いませんでしたが、なんとこのコースの写真、全部、消えてしまいました。うぇ〜ん。カメラからPCに写し、カメラの画像を消すときにPC側も消してしまったようなのです。いろいろやってみましたが、復活せず。一緒に行った人たちに「証拠がないんだから、もう一度、登れ!」と……。勘弁してください……。けっこう、しんどかった〜!

 



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青森ねぶた
スポーツが熱い季節で……