川の流れる街
桜並木だけではなく、川沿いは散策路として整備されているところが多いようです。夏の盛りには、緑が陰を落として涼しげ。川には「雁木」というものらしいのですが、舟をつけるような場所があります。階段の下が浅瀬のようになっているとこともあって、貝を採ったりするのだとか。
ついに一度も舟をつけているところにも、貝を採っているところにも遭遇しませんでしたが、昔は水上交通も大いに利用されていたのでしょう。ただ、この川で多くの方が亡くなったと思うと、なかなか水遊びする心境にはなれないのですが、それはそれで考えすぎなのでしょうか。
前回、広島に行ったときに泊まったホテルの近くに「白神社」という名前の神社がありました。小さな神社なのですが、由緒は正しいようです。ここに岩があって、「この岩礁は、広島城築城当時(1591年)海岸線であったこの附近に露出していたもので……」と解説されていました。「え、ここまで海だったの?」。けっこう市内の中心部に近いところだと思いますが。
広島も、お江戸もそうですが、昔からけっこう海を侵食して街づくりをしていたようですね。
広島現代美術館
ホテルからスタジアムに向かう道、ちょっと遠回りをすると「広島現代美術館」のある丘を通ります。モダンアートなんて、まったくわからない無粋な者ですが、濃い緑に誘われて散歩がてら丘を登っていくことにしました。うーん、夏に来るところじゃないかもしれませんねぇ。ときどき犬の散歩をしている人とすれ違います。元気ですねぇ。滝のように流れる汗に、少しばかり「来るんじゃなかった……」と(^_^;)
それでも登りきってしまえば、静かな心地よい空間が開けています。メタリックな造形や、石で作られた塔、「ムーアの広場」と書かれたところには、う〜ん、ちょっと不思議なアーチが置かれています。特別展として「透明ランナーは走りつづける」というタイトルの展示があるようですが、あまり時間がないので今回は中に入るのはやめました。
中庭のようなところに、常設らしき屋外の造形がいくつか展示されています。一番奥にあった「ヒロシマ-鎮まりしものたち」というブロンズ像にはっと息をのみました。何も言わなくても「ヒロシマ」が伝わってくるような……。さすがの芸術オンチの私も立ちすくみました。マグダレーナ・アバカノビヴィッチという人の作品です。どこの国の人なのでしょう。1930年生まれと書いてありましたから80歳近い方ですね。この作品を造ったのは92-93年だそうですから、60歳を過ぎたころ。この作者はすごいエネルギーがある方のように感じられます。
この現代美術館のすぐ近くに「まんが図書館」もあります。「どんなかな?」とのぞいてみたら、要するに書籍のかわりにマンガを閲覧したり、借り出したりできる、普通に図書館でした(笑) 夏休みとあって、子どもたちがたくさん来ています。おばさんたち、場違い……という感じで、そそくさと出てきました。おじゃましました〜という感じです。
ここは丘の上に立つと、目指すマツダスタジアムも見えます。広島市街地はわりに平たい感じで、そういえば建物以外でこんなに見晴らしのいいところは他にはないのではないかしら?
原爆の日
式典が近いということで、公園では被爆者を含む市民団体の方などが、写真や主張を掲げたパネルを展示したり、ビラを配ったりされていました。立ち止まって記事を読んでみました。かなり厳しい言葉がならんでいます。激しいというか……。それだけ、怒りが深いのだろうなと思います。最後に「う〜ん」と考えてしまっていたら、主催者グループの方から、「どう思われますか?」と声をかけられました。
「う〜ん」と思ったのは、最後の主張が「アメリカは謝罪せよ」だったからです。「謝ってもらえばいいのか? なんか違う感じがする」と思っていたからです。主催者グループの方にそういうと、その点については賛否両論あるとのこと。謝る、謝らないの問題ではないという人も確かにあるとのことでした。「でも、どうせ彼らは謝らないからね」と。それはそうですね。アメリカ人はいつでもどこでもなんでも「We are No.1」だからねぇ、ところで意見は一致しました(笑)
今日、平和宣言を聞いていて、秋葉さんの「オバマジョリティ」という言葉には、ちょっと、いえ、すごくひっかかるものを感じます。なんか、媚びている感じがしてイヤなんだけど……。オバマさんの核廃絶の主張に諸手を揚げて賛意を示し、「あんたはエライ」と持ち上げているようだけど、あの人が核を持ってるんじゃない? 「オバマさんに賛同します」ではなくて、オバマさんに「それをいうなら我々に賛同しなさい!」というのが筋なような。
今年は世界59の国や地域から式典に参加されたそうですけど、オバマさん、そういうなら来てほしいな。それと北の将軍たちにもぜひ広島を訪問して、資料館をじっくり見て行ってほしいと思います。
資料館を見て「気持ちが悪い」とか「子どもたちに見せたくない」などと言った人がいましたが、この現実の悲惨さから目をそむけてはいけないのではないでしょうかね? むしろ、小学校高学年か中学校ぐらいで、全員が修学旅行に来たほうがいいと思うのです。普段は、弛緩した平和に慣れきってのんべんだらりと好きなことやっているのだから、せめてこの日ぐらいは戦争と平和を考えたいと思うのでした。
まだまだお好み焼
ここでは、山盛りのキャベツにびっくり。お好み焼1枚に、キャベツを約1/4玉使うのだそうです。手元をろくに見ないでトントンと軽快にキャベツを刻んでいくおにいさんに「一日、どのくらいのキャベツを刻むのですか?」と聞いてみたら、30から40個ぐらいとのこと。もっとも忙しいときには47個も刻んだことがあるそうです。すごい!
それぞれが好きなことを言って、いろいろな注文をしました。私は、「広島に来たからには、牡蠣入り!」と。プリンプリンした牡蠣がけっこうたくさん入っていておいしかったです。上に刻みネギがたくさん乗せられているのもいいですね。並べられたお好み焼の行列の中で、刻みネギが乗ったのは3つ。「さて、私のところに来るのはどれ?」という楽しみもありました。私の前にネギ乗せが来たときには「ラッキー!」と(笑)
こちらのお好み焼は、どちらかといえば薄味のほうかも。お好み焼の作り方は、どの店もたいして変わらないような気がしますが、店によって、味が微妙に違うのも楽しみの一つになります。もっといろいろ試してみたいけれど、1.5泊みたいな日程では、そんなには食べられないのが残念。日曜日中に高速道路に乗らなければ1,000円の権利を失してしまいますから(^_^;)
やっとお好み焼
土曜日の試合後、夕立というには凄まじすぎる豪雨に見舞われ、スタジアムを出たのは22時をはるかに回っていました。小降りになったのでカッパに身を固め、タクシーなんか全然つかまえられないので、市電へ乗るべく広島駅に向かいました。徒歩10分程度でしょうか、その間に雨は完全にやみました。なんなのでしょうね、このお天気は!
大混雑の市電に乗って、いざお好み焼屋さん。時間が時間なので、やっているかどうか心配していましたが、午前2時頃まで営業しているようです。広島の繁華街って、けっこう夜更かしですよね。そして、辿り着いたのが「五右衛門」というお店でした。でも、いっぱい。野球帰りのお客さんが多いとのことで、どこへいっても混雑のようです。少し待ってみることにしました。
「カウンターが空いたので、テーブル席が空くまでこちらでいかがですか」と、お店の方にご案内をいただきました。4人だったのでテーブルを用意してくれようとしたみたいですが、結果的にカウンターのほうがよかったです! 目の前で次々と焼かれていくお好み焼を見ているのは飽きません。
お玉で敷いた溶いた粉の上に、炒められた山盛りのキャベツが乗せられ、注文によって肉や海鮮がそれぞれ乗せられ、玉子が広げられ、手際よく乗せられたり、ひっくり返されたりしているうちに、みるみるお好み焼になっていきます。焼きそばの炒め方も豪快です。おいしそうなにおいが漂ってきて、待ちきれない気分にさせられます。
何枚かの薄切りの肉の間を玉子でつなぎ、その中に焼きそばとかキムチなどを巻き込んだ「五右衛門巻き」。これ、ほんとうにおいしかったです。厳密にはお好み焼ではないのかもしれませんが。いろいろな具材がはいったお好み焼ももちろんおいしく、しまいにはお腹いっぱいでこれ以上、食べられないという状態になりました(笑) 4人というのはとてもいい人数だったようで、4種類のものを少しずつ分け合って、いろいろな味を堪能でしました。満足、満足。後はホテルに帰ってシャワーを浴びて寝るだけ。
ラップトップの通信状態が悪く、メールも取れないのがちょっと心配でしたが、まあ、いいか〜(笑)