馬車でバザール
ルクソール最後の夜は、荷物回収のために予定より早めに動いたので、時間がたっぷりありました。そこで、夕食後、人々で賑わう夜のバザールへ行ってみることにしました。乗ったら最後、ぶったくられるのは必定、という馬車に乗って(笑)
私たちだけでは危ないというので、ガイドのシシさんがついて来てくれることに。知り合いの信用のできる馬車屋のおじさんを呼んで、一緒に乗ってバザールへ。こういうところが、ふたりしか参加していていないツアーのメリットです。ついでに、日本語でバザールの紹介までしてくれました。
しかし、この馬車、すごいです。普通は人しか歩けないだろうという、せまいバザールの道へどんどこ入っていってしまいました。馬車の上から手を伸ばせば、お店のものに触れるというくらいギリギリ走行。頭の上に衣類が掛かっていることがあり、そんなときは首をすくめて暖簾をくぐるような状態。シシさんは、「どんどん触っていいよ!」と言いますが、日本的な感覚では、「売り物でしょ?」とつい思ってしまいます。
ときには、お店の人が出している縁台のようなものを片付けさせたりして、馬車は進むよ、どこまでも♪ シシさんいわく「この御者は、性格が落ち着いていて、絶対に喧嘩をしないからいい」のだそうです。まあまあ年配の御者でしたが、若い人だとときおり、バザールの人と喧嘩になったりするそうです。しかし、この強引ともいえる馬車の歩みで、喧嘩にならないほうが不思議かも(笑)
途中で降りて、バザールを散策し、シーシャ(水たばこ)を体験しながらミントティーをいただき、再び馬車に迎えに来てもらってホテルへ帰還。王侯貴族というほど立派な馬車ではなく、単なる観光用ですが、足の弱い年寄りと一緒でもバザールを堪能できました。
日本人観光客激減
笑いごとではなく。観光客が減っているから、いま行ったらウエルカムに違いないでしょ! と言って敢行したエジプトツアーですが、ウエルカムどころではありません。主として日本人観光客が泊まっていたホテルとか、日本人向けに営業しているおみやげ物やさんとか、みなさん、片言の日本語を話し、困った、困ったと。ガイドさんばかりではなく、関連業者がみんな深刻です。おみやげ、買わないわけにはいかなくなる……(笑)
観光客が減ったことは、正規の仕事を失った人も多いということのようで、観光地の物売りは激増。しかも、しつこさも倍増……という場合も。観光客相手に営業している馬車なども、ほとんどが空で街を走らせています。馬の餌代もかかるだろうしねぇ。安全面からいえば、まだカイロには行っていませんが、観光地は革命前と変わりません。物売りがしつこいというのは、危険ではないでしょう(笑) しつこいと言っても観光中もついて回るようなことはなく、中国に比べればしつこいとさえ言えないくらい(笑) 中国といえば、やはり景気がいいのはかの国だけ? 観光地で「ニイハオ」と呼びかけられることが、かなりあります。こちらは、増加傾向なのでしょう。「ノット チャイニーズ」と言って、フンっとします(笑)
手荷物回収
翌日は、お風呂には入ったものの汚いままで観光(^^; 観光を一つ取りやめて……という考え方もあったのですが、シシさんが「それはもったいないから、1時間早く出発!」と言ってくれて、朝6出発の段取りに。レストランも5時半から、朝食をサービスしてくれるそうな。申し訳な〜い。ドライバーのハマダさんはもちろん、英語ガイドさんも朝から来てくれて、本当に申し訳なーい・
この日は、郊外のラムセス2世とクレオパトラのハトホル神殿に弾丸観光。クルマで片道4時間以上かかるところです。そして、夕方、遺失物係が閉まる直前の5時に空港に到着。英語ガイドさんと一緒に空港に入り、あっちこっちでごめんなさい(笑) 行って、確認して、受け取ればいいだけかと思ったら、これがなかなか時間がかかりました。遺失物係が、ゲートの内側にあるので、空港内に入るための手続き、あちこちで保安検査……、その後、やっと荷物にたどり着き、着いたら、あとはサインをして受け取るだけなのだけれど。
キャスターバッグを引っ張って駐車場に戻り、みんなに笑われました(笑) 英語ガイドさんからは、「もう、忘れないでね!」と言われ、I'm sorry! しか、ないでしょう、ここは。ほんとにまあ、しょっぱなから迷惑な客であります。おかげさまで、やっと着替えることができました。キャスターバッグを開けてみると、トランクキーだけじゃない、保険証書も帰りの飛行機のEチケットもここでした。もし、出てこなかったら……エジプトに住むことになったかもしれませんねぇ(-_-;
あちゃ!
1日目は、カルナック神殿、ハトシェプスト女王葬祭殿、王家の谷、ルクソール神殿と、ナイル川西岸と東岸を忙しく駆け回り、観光。どれもスケールが大きく、圧倒されますが、だんだん何が何だかわからなくなってきます(笑) あとで写真を見て、「そうそう、これこれ」といった感じに。これらの遺跡観光の話は、あとでゆっくり話しますという感じで、とりあえずホテルへ帰着。
私たちにあてがわれたのは、トヨタのワゴン車。10人ぐらいは乗れそうな車内に、ふたりでのうのうと乗っています。ドライバーはハマダさん。ダウンタウンの?という感じですが(笑)、運転に専念していて、英語も日本語も話しません。そのクルマでホテルに到着すると、さきほどの英語ガイドさんも来ていました。いたれりつくせり(笑)
ところが、荷物を降ろそうとすると、手荷物がない? 私たちは大型のトランクを各自1個、オババのバギー、そして私の機内込み用キャスターバッグの4つの荷物を持っていました。キャスターバッグの中から、貴重品を入れたリュック型バッグを取り出し、肩に掛け、キャスターバッグのほうはクルマのトランクに積んでもらったはず……。
ひょっとして、駐車場に置き忘れたのでは? ガイドさんふたりを、それぞれ携帯電話を取り出して、空港に電話するやら、どこかに電話するやら、てんてこ舞い状態にしてしまいました。フロントやベルボーイなどホテルの人も心配して大勢、集まってきてくれて……。とにかく、オババと荷物をホテルに置いて、ガイドさんたちと共に空港へ捜しにいくことに。
駐車場には何もなく、駐車場の警察に聞いてもお届け物はなく……。空港に入れる英語ガイドさんが中に聞きに行ってくれました。シシさんいわく、「駐車場なら絶対出てこない。空港内なら出てくる」と。「ほんとに駐車場までは持ってきた? 中に忘れたんじゃない?」 うーん、そう言われると「クライムエリアまでは100%持っていた。荷物を回収して、カートに乗せた。トランク2つにバギーを乗せたら、いっぱいだったので、手荷物は私が引っ張っていた……あたりから95%」。なにせ、オババはすぐ座れるところを見つけて座り込んじゃうし、何もできないのに「チップはいいの?」とか、いまする話じゃないような余計なことは言うし(笑)、とにかく黙ってついてきて……と叫んでいるような状態だったし……。
空港に入って行った英語ガイドさんはなかなか戻ってこない……。シシさんは、「もし、駐車場に置き忘れて、荷物を確認しないで出発したとなると、彼はクビになるかもしれない」とか言うし。「いや、私が悪いのだから、もし出てこなくても会社に報告しないで! 中に入っているのは、ほとんどPCだけで、携行品保険も入っているから」と、もう悲壮な感じになりはじめた頃、英語ガイドさんが戻ってくるのが見えました。
シシさん、「足取りからみて、5%のほうみたい(笑)」。ほんとに、そうでした。どこにあったかといえば、クライムエリアだそうです(-_-;; 100%自分の責任じゃ〜ん!という感じです。荷物はあったのだけれど、係がもう閉まっているので、明日の10時から17時の間に取りに来てくださいとのこと。みなさん、お手数かけてすみません(泣)
すごすごとホテルに帰り、着替えようとしたら、トランクの鍵がキャスターバッグの中! わっ、着替えもできない! 出発前から、いったい何時間、着ているのでしょう、この服を。汚〜い! 靴下だけは、カタール航空が機内でくれたものがある……。
エジプトに到着
成田を飛び立って関空に立ち寄り、ドーハで乗り換え。今回はカタール航空です。一度、乗ってみたいと思っていた航空会社だったので、それもこのツアーに乗っかった理由の一つでした。トランジットの時間は短かったのですが、ルクソールまで14時間半の旅。たぶん。機内では寝ているか食べているかという状態なので、時間の感覚はおかしなことになっています。時差は日本より7時間遅れ。ルクソールに到着したのが午前9時半でした。
ルクソール空港には、英語ガイドという人が迎えてくれて、ビザの購入、両替とクライムエリアでの荷物の回収を手伝ってくれます。これがまた、わかりにくい英語で(笑) あとで気づいたのですが、Pの音は完全にB。エアポートがエアボートになるのが、エジプシャン・イングリッシュの特徴です。しかも紙に書かれていた名前が間違っていたので、いったんスルーして、戻ってきてやっと我々を待っていてくれた人に出会えました。あとで多大なご迷惑をかけることになった人ですが、名前は最後までわからず(^^;;
こちらの観光ガイドのシステムは、空港内でガイドをできる資格と、観光地でガイドができる資格がまったく別になっているそうです。私たちを案内してくれる日本語ガイドは、空港に入る資格がなく、空港のガイドは観光地に入る資格がない、とのこと。まとめて両方は取れないのかと聞いたところ(もちろん、日本語ガイドにです)、「まったくダメではないが、ほとんどない」とのこと。雇用対策ではないかと思われます。どちらもエジプト人。空港の駐車場で待っていてくれた日本語ガイドはシシさん。かなり達者な日本語を操りますが、雇用対策問題までは、ちょっと説明できないような、です(笑)
そして、そこからルクソールの怒涛の観光が始まりました。オババには内緒で、シルバーカートという止めれば座れる手押し車を通販で買って持ってきたのですが、これ正解! 遺跡は足元が悪いので、杖でヨタヨタでは到底、観光どころではなかったのではないかと思います。さすがに見栄っ張りのオババも、知り合いがひとりもいないところでは、シルバーカートも使います(笑) それでも、ずいぶんシシさんの手を借り、気遣いもいただいております。