アレキサンドリア
高級リゾート、シャルムを後にして、飛行機でいったんカイロに戻り、クルマでアレキサンドリアへやってきました。アレキサンダー大王が作った街で、なんとなく世界史の世界……、苦手でしたけど(笑) クレオパトラがいた街でもあります。クレオパトラって、金髪で、ギリシア人とエジプト人(アラブ人のではなく)のハーフだったとか。イメージわきませんね(笑) ここは地中海に面したリゾートで、いまは高級ではなく中級リゾートになっているとか。カイロから近いので、中級の人々が短い休暇で来るところだそうです。地中海に、クレオパトラに、といえば、素敵な街に感じられますが、海にはいっぱいゴミが浮かんでいて、湿度も高いのであまり快適とはいえません。気温は27、8℃ぐらいですが、汗まみれになってしまいます。連泊なので、洗濯、洗濯。ところが湿度が高いせいか、案外、乾きません。普通、ホテルの部屋は乾燥しすぎるほどのはずなのですが(-_-;;
ここでは「メトロポール」というかなり高級なホテルに泊まりました。アレキサンドリアでもっとも古いホテルのひとつだそうで、クレオパトラがカエサルのために建築し、オクタビアヌスの時代に完成したというカエサリウムという建物があった場所の跡地に建てられたホテルだとか。跡地というだけで、クレオパトラとホテルは何の関係もありませんが、全体にアンティーク調で、クラシックなインテリアが美しいホテルです。宿泊費はやや高めですが、客室数が少ないので、パッケージ旅行では絶対、泊まれないホテル。とくに驚いたのは、むき出しで箱が上下しているエレベータ。大丈夫?という感じですが、逆に、止まってもすぐに救出してもらえそうです(笑)
古い建物のよさでしょうか、天井がやたらに高い! おかげさまで、廊下などでも空間が非常に広く感じられます。もちろん、客室も。普通の近代的ホテルの1.5倍ぐらいの高さがあります。私の泊まらせてもらった部屋はハーバービューで、窓からは海岸が一望できます。ただし、この窓、老朽化が著しく、海から強風が吹くと、自動ドアのように全開(笑) 高さ3メーターぐらいの木製なので、閉めるためにはかなりの力が必要です。1日目は風が強かったので、何度も何度も窓を閉め……。最後には、重い椅子を引っ張ってきて窓の前に据え付けました(笑)
とはいえ、バスルームなどは改装してあり、清潔で近代的です。シャワーがお湯になるまでに少し時間がかかるのが難点といえば難点ですが、水圧もかなり高く、浴槽にお湯をためてちゃぽんと入っても広々しており、快適。エアコンもかなり細かく設定。そして、なんと部屋で使える無料のWiFiがあります。この旅では初めての無料、そして客室での使用ができる設備! 古くて新しいホテルとでも言いましょうか、やっと問題なくメールチェックができる環境を得ることができました(^-^;)
紅海リゾート
ホテルのプライベートビーチがあり、パラソルのつくる日陰で一休みしてきました。私は海風+太陽光線で皮膚にアレルギー反応を起こす性質なので、画期的に早起きし、8時にはブッフェの朝食を終えて、散歩がてら歩いて2分の海岸まで行ってみました。ということは、まだ9時前。なのに、日向には到底、長い時間はいられません。ただ、湿度が低いせいでしょうか、海風特有のベタベタ感はなく、本当に海?という感じです。アレルギーの気配もありません(^-^;)
のんびり寝転んでいると、目の前の海には、モーターボートが現れたり、ウィンドサーフィンが現れたり……。ここはダイビングスポットとしても有名で、マリンスポーツのすべてがそろっています。クルージングの船やグラスボートなどもあり、朝から多くの人が乗船待ちをしていました。いや〜、イタリア人はにぎやかです。言葉を変えれば傍若無人(笑) そういえば、飛行機の中でも後ろの席のイタリア人が、降りる間際に香水をたぶん頭から浴びたんじゃないと。むせ返り、頭痛がしてくるくらい……。いい香りではあるのですが、使う量には限度ってものがあるのではないかと思います(笑)
シャルムの街はおしゃれなお店が立ち並んでいて、とてもきれいです。ヨーロッパの街と違うのは(たぶん)水タバコを楽しめるカフェがずらっと並んでいること。昼間はみなさんビーチで、暑いし、さすがに誰もいませんが、日が落ちると席を探すのが大変なくらいぎっしりと水タバコを楽しむ人で埋まります。水タバコは、りんごやみかん、ミントなどさまざまな香りが楽しめ、水を通すことで有害成分はなくなるということで「無害なタバコ」としてヨーロッパ人にも人気があります。って、「有害なタバコ」を吸っている人々もたくさんいて、エジプトはタバコにうるさいことは言わないので、喫煙者のリゾートとしてはいいのかも(笑) 道には、夕べお水タバコの香りが漂い、街に香を焚き染めたような……。なかなかの癒し系です。
ホテルのロビーでランチのためにお連れさんと待ち合わせをしていたのですが、喉が渇いて……、ここでは、というより日本以外では、水はタダで好きなだけ飲めるというわけにはいきません。水、水、水……、ホテルの売店にはジュースなどが売っていますが、エジプトポンドしか使えないようです。両替店に行ったら、まだ閉まっていました。昼間は暑いので、みなさん、プールか海。あるいは昼寝。街が活動し始めるのは日が落ちてからになるようです。そのかわり、空が白むまでずーっとパーティモード。これぞリゾートという感じです。こういう休暇の楽しみ方に関しては、ヨーロッパの人々は貪欲です。
ファルーカ
エンジンつきの小型ボートもいいですが、アスワンに来たら、やはりファルーカに乗らなくては! というわけで、風任せの帆船ファルーカを1艘調達してもらいました。川風に吹かれて、ゆらりゆらりと進むファルーカは本当に涼しくて気持ちがいいです。ゆらりと言いますが、速度はそんなに遅くありません。風を受けて川をジグザグに進むので、移動に多少時間はかかりますが、これは移動の手段ではなく、川そのものを楽しむ船ですから、風が強ければ速く、弱ければゆっくり進むだけです。無風のときは動きが取れないので、モーターボートで引っ張るのだとか。私は、幸いにも風に恵まれています(^-^;)
ヌビア人の村に上陸。といっても、船着場ではなく、岸に板を渡して上陸です。なかなかワイルド(笑) ファルーカの船長のお宅で、お茶をご馳走してくれるそうです。ヌビアの人々は、大きな家に一族郎党、まとまって住んでいます。真ん中が広場のようになっていて、それぞれの部屋やキッチンとの連絡は、この広場を行ったり来たり。子どもたちは、姉妹だったり、いとこだったり……みんな一緒に遊んでいて、楽しそうです。どうやら船長のお孫さんたちらしく、ここは船長ご夫妻と息子たち夫婦の子どもたちが一緒に暮らしているようです。ご馳走になったハイビスカスティは、冷たくてとてもおいしかった!
子どもたちは、キャンディが大好きで、手持ちのものをあげたらとても喜んでくれました。よく顔を見ると、くっきりした目でかわいい顔……ファラオの子孫では?という感じです(^-^;) 古代エジプト人は、忽然と消えていて、その後、エジプトはオスマンやアラブやいろいろなところに支配されているので、現代のエジプト人(多くはアラブ人)とはつながりがないとのこと。ヌビア人は、ファラオに支配されていた人々といいますが、顔を見ると、実はこの中に支配者層が隠れていたのではないかとか……妄想(笑)
帰りもファルーカに揺られて、のんびり帰ってきたのですが、今回は歌をうたいに来る子どもがいなくて残念(笑) 前回は、手製の板きれのボートでファルーカの船べりにつかまって、きれいな声で歌をきかせてくれた子どもがいたのです。もちろん、チップがほしいわけですが、本当にきれいな歌声で、1ドルとキャンディでは申し訳ないくらいでした。ファルーカをホテルにつけてもらい、シャワーを浴びて、着替えをして夕食へ。
夕食は島のレストラン「ドッカ」で煮込み料理を食べることにしました。観光客ばかりではなく、地元の人々にもおいしいと評判の店だそうです。ホテルからボートで岸に渡り、少し歩いてレストランのボートの停泊場へ。レストランのボートで、店に渡ります。面倒なような気がしますが、水上が気持ちがよいので、まったく苦になりまん。というか、楽しみ(笑)
煮込み料理は、チキンとビーフ。昼間チキンを食べたので、ビーフを食べて見ることにしました。「お肉が硬いよ」と言われましたが、それほどでもなく、国際標準だと思います。松坂牛みたいなのは、特殊な存在でしょう。しかも、普段、私が食べているのはオージービーフですから(笑) トマトと肉、ここらへんでは肉といえばビーフのことですが、しっかり煮込んであっておいしかったです。最近は、日本でも「タジン」という名称がかなり一般的になっているのではないでしょうか。ちょっと焦がした感じのパスタを混ぜたライスにかけて食べます。ライスはご飯ではないので、主食のパンも配られますが、とても量が多くて食べ切れません。
もうひとつ、このレストランの名物は、グァバ、マンゴー、ストロベリーが3層になった「ヌビア・カクテル」。ノンアルコールで、かなり甘いですが、おいしいし、きれい。「混ぜて飲むか、1層ずつ飲むかは、あなたしだい」と言われました(笑) レストランのボートでホテルまで送ってもらい、夜景を楽しみました。今日のホテルは、「モーベンピック」と言って、やや高級(^-^;) たぶんアスワンで一番高いビルで、最上階はバーになっており、アスワンの夜景が一望できます。誰もお酒を飲まないので、エレベーターで上がって、夜景を見て、降りてきました。部屋は別棟の4階ですが、ここの窓からの夜景でも十分楽しめます。
アスワン
今日の昼食はマクドナルド。「えーっ、ここまで来て?」という感じですが、エジプトでしか食べられない「マック・アラビア」というのがあるのです。チキンとビーフの2種類があり、薄いハンバーグのような形状のものが、野菜と一緒にナンのようなものにはさんであります。私は、チキンを選びましたが、さっぱりした味付けでなかなかおいしかったです。マックの制服は世界共通のようですが、ムスリマ(イスラムの女性)の店員さんが、スカーフの上にマックの帽子を被っているのがかわいらしい(笑)
昼食をタクシーを捕まえて、ヌビア博物館へ。アスワンあたりは、ヌビア地方といいますが、アラビア人より色の黒い、そしてかなり整った顔をしているヌビア人がたくさん街を歩いています。ヌビア人だけの村も3箇所ほどあるそうな。博物館自体は、広々としている割には展示物が少なく、よいものはほとんどカイロ博物館に持っていかれてしまったようです(^-^;) むかしのヌビア人の生活を等身大の人形で示してる展示を見ているときに突然、停電! 真っ暗で、人形の影が……ちょっと怖い(笑) 30秒ぐらいで回復しました。電力の逼迫が叫ばれている日本でも、突然の停電というのはまず体験しないので、それはそれでおもしろかったといいますか(笑)
博物館を出て、炎天下ですが、ちょっと歩き、キリスト教(エジプト正教/コプト教)のすごく大きな教会へ行きました。鍵が閉まっていたのですが、番人らしき人が来て開けてくれました。それは、日本語ガイドのミナさんが、コプト教徒だから? コプト教徒は、エジプトの全人口の13%だそうですが、確率1割強の人と一緒に旅するというのは奇遇です(笑) というか、13%もいるんだ……というのが正直な感想。イスラムとコプトは、宗教に基づく生活習慣の違いなどから、ときどき摩擦もあるようですが、エジプトではまったく問題なく共存しているようです。
このコプト教会の向かいにある「カタラクト」というホテルは、「ナイルに死す」を書いたアガサ・クリスティが滞在していたホテルとして有名。泊まるためには、清水の舞台から何回も飛び降りなければならないくらい大変な金額がかかるようです(笑) カフェでお茶だけ飲むというのも可能ですが、お茶1杯1500円ぐらいかかるとか。日本のホテルなら、「そんなもんでしょ、ホテルのカフェ」という感じですが、大卒初任給1万円/月という貨幣価値の中では、目玉が飛び出して宇宙のかなたに飛んでいきそうです。中に入っては見ませんでしたが、当然、外国人ばかりでしょうねぇ。
コム・オンボ神殿
ここには医療器具のレリーフや、出産のレリーフなどが多くあり、ひょっとしたら病院の役割を果たしていた建物ではないかという説もあるそうです。前回、中に入ってじっくり見物し、隣接しているワニ博物館(ワニのミイラが見られます!)にも行ったので、今回は、外側をふらふらと歩きました。ふらふらしていると、すごい勢いで、物売りの人々に攻めこまれます(笑) 観光客が激減しているいま、彼らの苦境もわかりますが、こちらもそうそう買い物ができるわけでもなく……。まったくやる気のなさそうに店番だけしていたおじさんから、ストールを1枚だけ買いました。800円ぐらい。
午後はアスワンまで、最後の船旅です。アスワンに到着してランチをいただき、下船してスークを散策しました。今夜はガラベーヤパーティ。着たくなければ着なくてもいいとのことですが、ほとんどの船客がガラベーヤでコスプレ? ここはお付き合いをしないとノリが悪いでしょうというわけで、スーク(市場)で、ガラベーヤを物色。結局、ヌビア風の紺灰色のものを購入しました。ガラベーヤというのは、すとんとした丈の長いワンピースのようなものですが、手作りで、刺繍がたくさん刺してあって、日本円で1000円ぐらい。生地も悪くはなく、申し訳ないような値段です。頭にかぶるアクセサリーと合わせて1200円で購入しました。まあ、普段、日本で着られるものではないかもしれませんが、まあ、遊びで購入できる金額と言ってもいいでしょう。
夕食の後、女性は色とりどりの、男性もそれなりのガラベーヤを着込んだ人々がホールに集まり、ダンスだ、ゲームだ、大騒ぎ(笑) ほとんどはイギリス人の団体さんですが、イギリス人ってもっとおとなしめの人々かと思ってました(^-^;) 中にはツタンカーメン風の衣装を着たおじさんもいて、なんとメークまでばっちり。コスプレをしていない人はほとんどいなかったので、われわれのガラベーヤも大衆に溶け込みました。ただ、私の衣装はちょっと丈が長すぎて、うっかりすると裾を踏んで倒れるハメに陥りそうでしたから、ダンスは遠慮させていただきました。