シェークスピアの街
土砂降りのロンドンから、シャークスピアの生家がある街、ストラットフォード・アポン・エイボンへ行く列車のターミナルへ。大きな荷物はゲストハウスが預かってくれたので、助かりました。ロンドンにはいろいろな方向から中、長距離列車が入り、また出て行くわけですが、なんとそのターミナル同士がつながっていない! ここから出て行くだけの人や、ロンドンに来るだけの人はいいとして、ロンドンを通過してどこかへ行こうと思ったら、乗換えがたいへんじゃないかしら? まあ、私たちは出て行くだけだからいいけど(笑) 鈍行列車に乗って、2時間半の旅に出ます。
切符は、早割がお得と言われ、日本で買っておきました。当日に買うと22ポンド(たぶん)、私たちは10日前ぐらいに買って12ポンドでした。これはずいぶん違いますねぇ。しかも帰りの切符は、2週間前購入ぐらいになるのですが、なんと6ポンド! 違いすぎますよねぇ(笑) 早く買っておきなさいとメールでアドバスしてくれたゲストハウスの管理人さんに感謝です。鈍行で車窓の田園風景を楽しもう! って、発射して3分もたてば、もう田園風景。ロンドンは、思ったよりもずっと小さな街なのでした。林や畑が広がり、放し飼いの羊がぽつんといたり、群れをなしていたり……。最初はきょろきょろしていたものの、同じ風景がずーっと続くもので……、やっぱり居眠りですね(笑)
ストラットフォード・アポン・エイボンに着くと、ちょうどいま雨があがったという風情。よかった、よかった。ここで泊まるのは、日本人の方が経営しているB&Bです。ベッド&ブレックファースト、雰囲気からいうと朝食だけついている日本のペンションのような感じです。食事がまったくつかないゲストハウスより、家庭的で住環境もよく、なお安いのですから、理想的です(笑)
ストラットフォード・アポン・エイボンでは「ムーンエイカー」というB&Bに泊まっていますが、建物もかわいらしく、部屋もシンプルで素敵です。オーナーが日本人の方なので、日本からのお客さんが多いのかなと思ったら、そうでもないそうです。日本人観光客はパッケージツアーが多く、小さなこの街を観光だけして通過してしまうことが多いのだとか。もったいない(笑) ほんとに小さな街で、シェークスピアの生家とか、グローブ座でのシャークスピア劇とか、観光資源は少ないかもしれませんが、街の雰囲気は落ち着いて静かな英国風。観光というよりは、散歩が似合いそうな街です。
到着したのが午後の早い時間だったので、荷物を置いて街へ。晴れていたと思ったら、急に雨が降り出すようなお天気で、街が明るくなったり、暗くなったり……。せっかく英国へ来たのだから、アフターヌーンティーというのを体験してみようじゃないかと、甘そうなものがたくさん並んでいるティールームに入ってみました(笑) イチゴのタルトを頼んだら、これでもかというくらい生クリームが乗ってきて、うへっと思ったのですが、実はこの生クリームはまったく甘くありませんでした。タルト生地はけっこう甘いのですが、甘くない生クリームがかえって甘さを調節するような……。まあ、完食はできませんでしたけど(笑)
はじめての解散!(笑)
早起きして、毎週土曜日にしか開かれないという市場へ行ってきました。なぜ早起きかというと、お昼近くになると人ごみで歩けないほどになるそうなのです。駅前からバスに乗って、降りたところから人の歩いていく方向についていけば大丈夫と聞いていたのですが……、市場のある街の直前でバスが勝手に路線変更(笑) バス停の表示が出るはずの電光掲示板には*マークが続きます。そういうことはままあるという話は聞いていたものの、ひぇ〜、どこで降りればいいの〜? そろそろのはずというあたりで、目を皿のようにしてバス停を探すと、路線図によれば次の駅にあたる名前が見えました。とにかく降りよう! と、降りたのですが、どっちへ向かえばいいものやら。とりあえず、バスが来た方角へ戻り、途中で道路清掃のおじさんに道を聞くハメになりました。よく聞かれるらしく、どこからともなく地図を出して説明してくれましたが、英語、わかんな〜い(笑)
それでもなんとか市場にたどり着くことができました。入り口付近は、骨董品やアクセサリーの店。店舗もあり、露天もあり、です。中程まで歩くと、いっせいに食品の屋台が並びます。調理しながら売っている店もあれば、お菓子を並べている店も、肉やパンなど日曜食品の露天もたくさんあって、地元の人らしきおばさんも大量買いしていたり。きっとスーパーより安くて、品物がいいという感じなのでしょう。私たちは、ブルベリードーナッツを買い食い(笑) そんなに甘くないジャムが入っていて、おいしかったです。
市場の近くに、ウィリアム王子とキャサリン妃が住んでいるケンジントン宮殿があるというので、行って見ることにしました。低層の地味な宮殿で、内部を一部公開しています。有料。入り口の近くには王室関連グッズを販売するショップやカフェまであります。どこにも警備している人の姿もなく、開かれた王室らしいといえましょうか。目の前は広々した公園に続いています。散歩にでも出てくればいいのに(笑) ここまで来たところで、ダンプちゃんはアートギャラリーへ、私はソーホーの古本屋街へと出かけるために、解散!(笑) 初めてのロンドンひとり歩きということになりました。これまで地図と交通機関は、お任せ〜という感じで楽をしていた私は、さあ、どうしよう?
バスの路線図を広げ、バス停の表示をみて、ピカデリーサーカス行きのバスがあることを発見。終点だし、ここまで行けばなんとかなる!(笑) 94番のバスに乗りかけ、念のため「ピカデリーサーカス?」と聞いたら、逆方向だと言われました。聞いてみて、よかった〜。飛び降りて逆方向のバス停を探し、なんとかバスに乗ったのですが、系統は書いてあっても目的地は書いてない、そういうところが部外者にはちょっと不便なロンドンのバスです。そのうえ、ピカデリーサーカスに到着する前に、「今日はバスはここで終わり。全員降りろ」と言われ、どこだかわからないところで降ろされました(泣) こういうこともままあるとは聞いていましたが、地図を見るにも、いま自分がどこにいるのかわからないのですから、パニックです。そのへんを歩き回って、とりあえず、オックスフォードサーカスというところにいることがわかり、少し料金は高いのですが、わかりやすい地下鉄に乗ることにしました。もう!
こんなことがあったのも、なにやらイベントがあったらしいです。というのも古本屋さんがあると聞いたあたりは、劇場などもあることもありましょうが、歩道いっぱい人、人、人で、歩くのもままならないほど。しょうがない、古本屋探求はあきらめ、ロンドンで一番大きいという新刊書店に立ち寄って、すごすごと宿にかえりました。やれやれ。
ロンドン塔
午後は、ロンドン塔にでも行ってみようかと、地下鉄に乗りました。降車駅でびっくり。改札止めやら、階段規制から、一歩通行やら……。いま、ロンドンでは第一次世界大戦から100年という記念行事があちこちで行われています。毎年、この日が近づくと街角の石碑やブロンズ像などに必ず添えられているのが、赤いけしの造花です。ロンドン塔の周囲、堀のような部分にはぐるりと真っ赤なセラミックのけしの花。この花は、人々が買い求めて飾るという風習で、行事が終わるとひとつひとつ、買った人のもとへ送られるのだそうです。何万本の花がぎっしり。そして、それを見に来た何万人の人がぎっしり(笑) 日本では黒山の人だかりといいますが、イギリス中、世界中から人が集まるので、髪の色も黒ばかりではなく、ブロンドやブルネットや……。カラフル山の人だかりです。なかなか前に進めず、入場するどころの騒ぎではありません。
日本では、戦争で亡くなった方への慰霊などということを主張すると、右翼?と言われかねませんが、イギリスでは(というか、ほとんど世界中では)、こういった国のために命をささげた兵士に対する慰霊行事のようなものはとても大切にされています。街角や駅には必ず軍の関係者らしき人が立ち、けしの花のブローチのようなものが、売られているといいますか、寄付をすると花をつけてくれる……、日本の赤い羽根募金のような感じです。この時期、この花をつけていない人は観光客ぐらいらしいです。道を聞くときは、花をつけている人にすべし(笑) って、私が地下鉄の駅で道を聞かれてしまいました〜。私? どこから見てもおのぼりさんでしょうが〜。花もつけてないし〜(笑)
人波に乗って、ぐるっと一周。ロンドンブリッジの上から見たら、全景が見えるのではないかと思いますが、橋に登る階段も大渋滞で進めそうもありません。桟橋に停泊している観光船にも大勢の人が乗り込み、大丈夫? 沈まない? といった有様です。へとへとになっているのは私たちばかりではありませんから、たくさん置いてあるベンチにも当然、空きはありません。ロンドン塔をじっくり見たければ、この時期は避けたほうがよさそうです。また今度……が、あるかどうかはわかりませんが、今日のところは退散、退散(笑)
アビーロード
泊まっている宿は、リージェンツ・パークという大きな公園のすぐ脇です。お天気がよくなったこともあり、朝の散歩をかねて、公園を突っ切って、ビートルズのジャケットで有名になったアビーロードの横断歩道へ行くことに。公園をぐるっと回ると、ハリー・ポッターが蛇を逃がしてしまった動物園もあります。イギリスでは、いま学校が中休みとかで、どこへ行っても子どもの姿がいっぱい。動物園も家族連れであふれかえっています。で、入場はパスして(入場料も高い!)、ただで見られる横断歩道へと向かいます。
道がいささかわかりにくく、途中で道行く人に尋ねながらやっと到着すると、けっこう人だかりがしていました。渡りながらポーズする人が続出。普通にクルマが通る道なので、けっこう危ない(笑) とはいえ、ドライバーのほうも心得たものという感じがします。横断歩道の先には、いまでも使われているアビー・スタジオがありますが、ここは観光客は入れません。
アビーロードから、ついに2階建てバスに乗車。2階の一番前の席が空いていたので、そこに陣取りました。街の風景が違って見えますね! シャーロック・ホームズ博物館のあるベーカーストリートまでの短い乗車でしたが、とりあえず、一つ目的を達しました(笑)
シャーロック・ホームズ博物館は、小説の舞台となったホームズの書斎を再現したもので、非常に手狭。入場制限があり、一度に7人だそうです。朝からけっこう行列ができていて、外国人ばかりではなく、イギリスのいろいろな地方から見物に来ているようです。とにかく行列に並んだら、前にいたおばさんが先にチケットを買わなきゃだめよと教えてくれました。チケット売り場は、売店のすごく億のほうにあって、わかりにくく、私たちのようなあわて者はけっこうたくさんいるようです。この白人のおばさん、大のホームズファンなのでしょうか、待ってる間もとてもうれしそうでした。入り口に帽子やパイプなどの小道具が置いてあるのですが、これらを身につけて記念写真をたくさん撮っていました。老ご夫妻での旅行でしょう、言語は英語でしたが、どこから来たのかしら?
ウエストミンスター寺院
今日は雨もすっかり上がり、快晴のロンドンを市内歩き。街並みを楽しみながら、まずはバッキンガム宮殿を目指しました。今日は、衛兵交代の儀式がある日です。交代シーンをしっかり見るためには、朝の9時頃から柵にへばりついて待たなければならないようですが、そんな根性はないので、11時半頃から始まる儀式のちょっと前に到着。ぎっしりの人垣の隙間から交代の衛兵が到着し、任務が終わった人たちが出て行くシーンだけ目撃しました。もう冬服になっているので、けっこう地味です(笑) 騎馬警官がたくさん出ていて、ここには馬に乗る文化が根づいているのだなぁなんて、つまらないことに感心したりして。
バッキンガム宮殿を後にして、歩いてビッグベン、その隣のウエストミンスター寺院へ。ビッグベンは、なるほど写真で見るのと同じだ思ってしまったのですが、落ち着きがあり、カチッとした感じがいかにも英国的に感じられます。一方、角を曲がってウエストミンスター寺院が初めて目に入ったときは、ぞくっとしました。外観からもある種の雰囲気が伝わってきます。内部は写真撮影禁止なのが残念ですが、棺や彫刻ばかりでなく、壁や天井、ステンドグラスなども実に見事です。入り口で、各国語の解説レシーバーを無料提供してくれるので、これを聞きながらじっくり見て回ると、なんと2時間近くかかりました! メインの礼拝堂以外にも内部に小さな礼拝堂がたくさんあり、それぞれいわれがあって、解説を聞きながら歩くと興味深さも倍増です。
しかし、さすがに疲れました(笑) ので、観光はここらでやめ、テムズ川沿いを駅まで散策し、地下鉄でピカデリー・サーカスへ。あわよくば、今晩のミュージカルのチケットが手に入らないかと、早めに探しに行ったのでした。「オペラ座の怪人」をゲット! しかしながら、けっこう高い席しか空いていなくて、泣く泣く紙幣を差し出したのでありました(笑) せりふはまったく聞き取れませんが(泣)、ストーリーは知っているものだし、舞台装置や衣装がきらびやかで、ステージはとても楽しめました。