コッツウォルズ
今日は、しっかりとナビの使い方を教えてもらい、ついでに目的地のあれこれもセットしてもらって、風光明媚な街や庭園が点在する地方へと出発。普段は、自分のクルマについているナビなど、まったく無視しているのですが、これほどナビ様をありがたいと思ったことはありません(笑) 英語でしゃべるという難点はあるものの、ちゃんと正しい道を案内してくれました。田舎道を走り回ったので、もしナビがなければ、「本当にこの道でいいの?」という不安に駆られていたに違いありません。出発するときは太陽が燦々と輝き、絶好の観光日和。と、思われたのですが、目的地に着く前から、空はどんよりと曇り、ついに雨が降ってきました。その上、気温もぐんぐん下がって、寒い、寒い!
目の前に現れる街並み、というより、村の風情は、絵本の中で見たことのあるような、歴史を感じる美しい姿です。絵本を描いた人は、普通に写生をしたということなのでしょうが、日本人にとっては、絵本の中でしか見たことのない風景ということになります。表通りにはお土産ものを売る店やカフェなどがありますが、一つ裏通りに入ると、人っ子ひとりいない静かな路地が続いています。煙突から煙が出ていたりして、「ここで暮らしている人々がいるんだなぁ」と実感。うらやましいような気もする一方、雨で寒かったこともあり、観光で来るにはいいけど、暮らすのはたいへんだろうなぁとも思われるのでした。
イングリッシュ・ガーデンで有名な村にも行って見ました。しかしながら季節はもう初冬。美しいと評判の庭も枯れて寒々しい風景になっていました。やはり、こういうところには春から夏に訪れるべきでしょう(笑) 何もない村里にぽつんと一軒だけあったパブに入ってみました。こちらは運転中なのでコーヒーをいただきましたが、パブには午後の早い時間からビール片手に談笑するおじさんたちが多数(笑) リタイヤ組なのでしょうか、ここが村の唯一の社交場になっているという雰囲気が伝わってきます。出掛けに、おじいさんたちから「ありがとう。さよなら」と声をかけられました。日本人だって、バレてる! どうして?(笑)
ロングドライブ
英国の田園風景を楽しむために、レンタカーを借りました。道路は、日本と同じクルマが左側通行。交通ルールもほとんど変わらない感じで、ドライブは問題なさそうです。ただ一つ、イギリスではマニュアルシフトが主流。オートマチック車もあるにはあるのですが、数が少なく、それも排気量の大きなタイプばかりで、料金は小型車の倍ぐらい、ガソリンの消費量もばかになりません。というわけで、10年ぶりぐらいになりますが、マニュアル車を運転することになりました。エンスト必至(笑)
コッツウォルズ観光の予定でしたが、運転に慣れようと、「できれば、行こう」ぐらいだったストーク・オン・トレントに行くことにしました。高速道路(無料です)に乗って、2時間余り。ウェッジウッドの工場をはじめ、いくつかの陶器メーカーが集まっている街です。小型のフォードは、ナビなし。地図は折りたたみ式の1枚地図があるだけ。B&Bのご主人がナビを貸してくださったのですが、走り出してから、使い方がわからないということに気づきました。それでも、根がお気楽者の私は、「的が大きいから大丈夫。標識を見て行こう!」と(笑) 途中のサービスエリアで、一応、道路地図を購入したのですが、これがけっこう大雑把で……。行きはいいけど帰りは大丈夫かなと、チラッと不安がかすめたのですが、ま、何とかなるでしょう(笑)
ウェッジウッドは陶器博物館ももっているので、ちゃんとあちこちに標識はありました。が、近くにいるのになかなかたどり着けないという……、まるでカフカの世界に突入です(笑) 街中でも、東京で運転するよりはずっと楽なのですが、ランダバウト(round about)という、日本で言うロータリーですか、信号なしでグルグル回る交差点が、なかなかクセモノなのです。ルールは回っているクルマ優先というだけで難しくはないのですが、大きな較差店で回っている部分が2車線だったりすると、どこを走ればいいんだ?ということになります。左側を走ると、出る予定ではない1つ前の道に流れで出てしまったり(笑) そんなこんなで、何回Uターンをしたことでしょう。細い田舎道に突入したりして、羊や牛や馬にも出会い、田園風景だけは思いっきり堪能しました。
やっとたどり着いたウェッジウッド博物館のカフェでサンドイッチの昼食。固そうなパンに見えたのですが、案外、やわらかくて食べやすいサンドイッチでした。こんなものでも、食器はすべてウェッジウッド。当たり前でしょうけど(笑) この工場&博物館には、アウトレットのショップもありました。たぶん、数が揃わなくなったり、小傷があったりするものなのでしょう。保証書や箱はつきませんが、カップや皿を安く購入することができます。私は、とくに陶器の趣味はないのですが、値段にひかれて衝動買い(笑) 本当は、他のメーカーや、小さな工房も訪ねてみたかったのですが、帰り道が不安なので、ウェッジウッドだけで引き揚げることにしました。
帰り道は不安的中(笑) まず最初に逆向きの道に乗ってしまい、降りてUターン。高速道路なので、次の出口までが遠い……。次に分岐で違う方向に行き、また降りてUターン。タダだからいいようなものの、ドタバタの連続です(笑) ストラットフォード・アポン・エイボンに通じる出口を出たころには、すっかり日が落ちて、標識が見えな〜い。またしても、目的地のまわりをグルグル。ついに途中で止めて、通りかかる人を待ち、道を尋ねました。教わった通りに行くと、なーんだ、本当に近くまで帰ってきていました。聞かなくても、えーいという感じでまっすぐ進めば、泊まっているB&Bの前の道だったのです。実際は、通り過ぎてしまい、ついでにスーパーマーケットで買い物をして帰ったのですけど(笑)
シェークスピアの街
土砂降りのロンドンから、シャークスピアの生家がある街、ストラットフォード・アポン・エイボンへ行く列車のターミナルへ。大きな荷物はゲストハウスが預かってくれたので、助かりました。ロンドンにはいろいろな方向から中、長距離列車が入り、また出て行くわけですが、なんとそのターミナル同士がつながっていない! ここから出て行くだけの人や、ロンドンに来るだけの人はいいとして、ロンドンを通過してどこかへ行こうと思ったら、乗換えがたいへんじゃないかしら? まあ、私たちは出て行くだけだからいいけど(笑) 鈍行列車に乗って、2時間半の旅に出ます。
切符は、早割がお得と言われ、日本で買っておきました。当日に買うと22ポンド(たぶん)、私たちは10日前ぐらいに買って12ポンドでした。これはずいぶん違いますねぇ。しかも帰りの切符は、2週間前購入ぐらいになるのですが、なんと6ポンド! 違いすぎますよねぇ(笑) 早く買っておきなさいとメールでアドバスしてくれたゲストハウスの管理人さんに感謝です。鈍行で車窓の田園風景を楽しもう! って、発射して3分もたてば、もう田園風景。ロンドンは、思ったよりもずっと小さな街なのでした。林や畑が広がり、放し飼いの羊がぽつんといたり、群れをなしていたり……。最初はきょろきょろしていたものの、同じ風景がずーっと続くもので……、やっぱり居眠りですね(笑)
ストラットフォード・アポン・エイボンに着くと、ちょうどいま雨があがったという風情。よかった、よかった。ここで泊まるのは、日本人の方が経営しているB&Bです。ベッド&ブレックファースト、雰囲気からいうと朝食だけついている日本のペンションのような感じです。食事がまったくつかないゲストハウスより、家庭的で住環境もよく、なお安いのですから、理想的です(笑)
ストラットフォード・アポン・エイボンでは「ムーンエイカー」というB&Bに泊まっていますが、建物もかわいらしく、部屋もシンプルで素敵です。オーナーが日本人の方なので、日本からのお客さんが多いのかなと思ったら、そうでもないそうです。日本人観光客はパッケージツアーが多く、小さなこの街を観光だけして通過してしまうことが多いのだとか。もったいない(笑) ほんとに小さな街で、シェークスピアの生家とか、グローブ座でのシャークスピア劇とか、観光資源は少ないかもしれませんが、街の雰囲気は落ち着いて静かな英国風。観光というよりは、散歩が似合いそうな街です。
到着したのが午後の早い時間だったので、荷物を置いて街へ。晴れていたと思ったら、急に雨が降り出すようなお天気で、街が明るくなったり、暗くなったり……。せっかく英国へ来たのだから、アフターヌーンティーというのを体験してみようじゃないかと、甘そうなものがたくさん並んでいるティールームに入ってみました(笑) イチゴのタルトを頼んだら、これでもかというくらい生クリームが乗ってきて、うへっと思ったのですが、実はこの生クリームはまったく甘くありませんでした。タルト生地はけっこう甘いのですが、甘くない生クリームがかえって甘さを調節するような……。まあ、完食はできませんでしたけど(笑)
はじめての解散!(笑)
早起きして、毎週土曜日にしか開かれないという市場へ行ってきました。なぜ早起きかというと、お昼近くになると人ごみで歩けないほどになるそうなのです。駅前からバスに乗って、降りたところから人の歩いていく方向についていけば大丈夫と聞いていたのですが……、市場のある街の直前でバスが勝手に路線変更(笑) バス停の表示が出るはずの電光掲示板には*マークが続きます。そういうことはままあるという話は聞いていたものの、ひぇ〜、どこで降りればいいの〜? そろそろのはずというあたりで、目を皿のようにしてバス停を探すと、路線図によれば次の駅にあたる名前が見えました。とにかく降りよう! と、降りたのですが、どっちへ向かえばいいものやら。とりあえず、バスが来た方角へ戻り、途中で道路清掃のおじさんに道を聞くハメになりました。よく聞かれるらしく、どこからともなく地図を出して説明してくれましたが、英語、わかんな〜い(笑)
それでもなんとか市場にたどり着くことができました。入り口付近は、骨董品やアクセサリーの店。店舗もあり、露天もあり、です。中程まで歩くと、いっせいに食品の屋台が並びます。調理しながら売っている店もあれば、お菓子を並べている店も、肉やパンなど日曜食品の露天もたくさんあって、地元の人らしきおばさんも大量買いしていたり。きっとスーパーより安くて、品物がいいという感じなのでしょう。私たちは、ブルベリードーナッツを買い食い(笑) そんなに甘くないジャムが入っていて、おいしかったです。
市場の近くに、ウィリアム王子とキャサリン妃が住んでいるケンジントン宮殿があるというので、行って見ることにしました。低層の地味な宮殿で、内部を一部公開しています。有料。入り口の近くには王室関連グッズを販売するショップやカフェまであります。どこにも警備している人の姿もなく、開かれた王室らしいといえましょうか。目の前は広々した公園に続いています。散歩にでも出てくればいいのに(笑) ここまで来たところで、ダンプちゃんはアートギャラリーへ、私はソーホーの古本屋街へと出かけるために、解散!(笑) 初めてのロンドンひとり歩きということになりました。これまで地図と交通機関は、お任せ〜という感じで楽をしていた私は、さあ、どうしよう?
バスの路線図を広げ、バス停の表示をみて、ピカデリーサーカス行きのバスがあることを発見。終点だし、ここまで行けばなんとかなる!(笑) 94番のバスに乗りかけ、念のため「ピカデリーサーカス?」と聞いたら、逆方向だと言われました。聞いてみて、よかった〜。飛び降りて逆方向のバス停を探し、なんとかバスに乗ったのですが、系統は書いてあっても目的地は書いてない、そういうところが部外者にはちょっと不便なロンドンのバスです。そのうえ、ピカデリーサーカスに到着する前に、「今日はバスはここで終わり。全員降りろ」と言われ、どこだかわからないところで降ろされました(泣) こういうこともままあるとは聞いていましたが、地図を見るにも、いま自分がどこにいるのかわからないのですから、パニックです。そのへんを歩き回って、とりあえず、オックスフォードサーカスというところにいることがわかり、少し料金は高いのですが、わかりやすい地下鉄に乗ることにしました。もう!
こんなことがあったのも、なにやらイベントがあったらしいです。というのも古本屋さんがあると聞いたあたりは、劇場などもあることもありましょうが、歩道いっぱい人、人、人で、歩くのもままならないほど。しょうがない、古本屋探求はあきらめ、ロンドンで一番大きいという新刊書店に立ち寄って、すごすごと宿にかえりました。やれやれ。
ロンドン塔
午後は、ロンドン塔にでも行ってみようかと、地下鉄に乗りました。降車駅でびっくり。改札止めやら、階段規制から、一歩通行やら……。いま、ロンドンでは第一次世界大戦から100年という記念行事があちこちで行われています。毎年、この日が近づくと街角の石碑やブロンズ像などに必ず添えられているのが、赤いけしの造花です。ロンドン塔の周囲、堀のような部分にはぐるりと真っ赤なセラミックのけしの花。この花は、人々が買い求めて飾るという風習で、行事が終わるとひとつひとつ、買った人のもとへ送られるのだそうです。何万本の花がぎっしり。そして、それを見に来た何万人の人がぎっしり(笑) 日本では黒山の人だかりといいますが、イギリス中、世界中から人が集まるので、髪の色も黒ばかりではなく、ブロンドやブルネットや……。カラフル山の人だかりです。なかなか前に進めず、入場するどころの騒ぎではありません。
日本では、戦争で亡くなった方への慰霊などということを主張すると、右翼?と言われかねませんが、イギリスでは(というか、ほとんど世界中では)、こういった国のために命をささげた兵士に対する慰霊行事のようなものはとても大切にされています。街角や駅には必ず軍の関係者らしき人が立ち、けしの花のブローチのようなものが、売られているといいますか、寄付をすると花をつけてくれる……、日本の赤い羽根募金のような感じです。この時期、この花をつけていない人は観光客ぐらいらしいです。道を聞くときは、花をつけている人にすべし(笑) って、私が地下鉄の駅で道を聞かれてしまいました〜。私? どこから見てもおのぼりさんでしょうが〜。花もつけてないし〜(笑)
人波に乗って、ぐるっと一周。ロンドンブリッジの上から見たら、全景が見えるのではないかと思いますが、橋に登る階段も大渋滞で進めそうもありません。桟橋に停泊している観光船にも大勢の人が乗り込み、大丈夫? 沈まない? といった有様です。へとへとになっているのは私たちばかりではありませんから、たくさん置いてあるベンチにも当然、空きはありません。ロンドン塔をじっくり見たければ、この時期は避けたほうがよさそうです。また今度……が、あるかどうかはわかりませんが、今日のところは退散、退散(笑)