ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2008/12/10  (水) 

東京の紅葉スポット3「旧岩崎邸庭園」

紅葉スポットといっていいのかどうか、戦後はGHQに接収され、その後に国有化されたなかで、用地転用や売却で切り取られ、広い芝生の庭はありますが、越後高田藩の中屋敷だったという大名庭園の面影はあまり残っていません。紅葉も「見事!」というほどの樹木が配されているわけでもありませんね。でも、建物のほうは「すごい!」です。さすがに三菱財閥……。
現在は都立公園になっていますが、素晴らしい建物と庭の一部はいまだに工事中。それでもある程度までは改修が終わって、2003年からおおむね公開されるようになったそうです。三菱財閥の3代目岩崎久弥が本邸としていた屋敷のうち、応接に使われていたという洋館、生活の場の一部だった和館、ビリヤード場の3棟が残されており、いずれも重要文化財になっています。
 

1896(明治29)年に竣工した洋館は、口が「ぽっかーん」となってしまうような建物ですが、内部もものすごく立派で凝っています。靴を脱いで中に入ることができるのですが、ご邸宅というよりは、むかしの立派な学校のような感じがしました。ベランダ・コロニアル様式というのだそうです。「マントルピースだけで、いくつあるって?」という感じ(笑) この洋館のベランダから、広々としたお庭が見渡せます。
 

和館は書院造を基調とした和風建築。岩崎家の生活の場として使用されていた建物の一部だそうです。ほんとうは550坪にもなる大邸宅でたくさんの建物があったのだとか。現存するのは大広間と茶室のあたり。ここではお茶などがいただけるようになっています。洋館とは船底天井の渡り廊下で結ばれていますが、こういう天井を見たのは竹生島以来(笑) 個人の家でねぇ。むかしの財閥って本当にお金持ちだったのですねぇ。室内なので、美しい形状がよく保たれています。
 
山小屋風の別館はビリヤード室。洋館とは地下道でつながっているそうです。スケールが違う……。ちょうど居合わせた工事の方が、「この階段でつながっていて、こっちは明かり取り」などと説明してくださいました。まだ改修が終了していないので、壁紙は明治のときのままになっているそうです。天井から下げられているランプも明治からずっと下がっている……。こちらは中には入れず、残念ながらビリヤード台は残っていないそうです。
 
紅葉よりもなによりも、圧倒されました(笑) 入口にある門に残っている紋、しゃれではありませんよ(笑) これが変化して、いまの三菱グループのマークになったそうです。ここでもボランティアの方々が時間を決めて説明してくだるようなので、その時間に行くといろいろ教えてもらえることがありそうです。

 



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2008/12/09  (火) 

「グッドナイト スリイプタイト」

久しぶりにパルコ劇場に行きました。不況だといいながら、渋谷の街は人であふれていますね。話題の岡本太郎の壁画の前も通ってみました。三谷さんの舞台は、ほんっとに取れなくて、今回も玉砕かと思いきや、わずかながら取れた人がいたのでご相伴にあずかりました。ふたり芝居ということで、大勢が出演する舞台より競争率が低かったのかもしれませんね。そういえば、前に取れたときは戸田恵子さんのひとり芝居でした。
 
「グッドナイト スリイプタイト」は「ぐっすりとおやすみなさい」ぐらいの意味ですが、文字通り、舞台はずっと夫婦の寝室。いま離婚をして家を出て行く妻と、残される夫の会話からはじまります。残していく品物、持っていく品物……、片方にとっては思い出の品が片方にとっては忘れ去った記憶。「そんなこと言ったっけ?」「そんなこと言わない」というすれ違い。熟年離婚とか、定年離婚とか、ときどき聞く話で、こんなものなのかもと思わされます。私は経験がないので推測にすぎませんが(笑)
 
時が遡り、その品物、その記憶が再現されていくという趣向です。ああ、ありがちだなぁ……なんて。私はどちらかといえばキープ派なのですが、それでも思わず声を出して笑っちゃうシーンがいくつもありました。戸田恵子さんは期待通り、中井貴一さんは、ある意味「らしくない」感じで、それが意外性にもなり、おもしろい芝居となっています。ふたり芝居といっても共演のペットもかなり傑作。バンドの方々もユーモラスでした。「結婚してから何日目の話」というのがデジタルで表示されるのも愉快です。
 
「おもしろかったねー!」と言って、帰る際、出口が渋滞するのはなんとかなりませんかね、パルコ劇場。比較的、小さな劇場ですが、それでもどっと帰途につく人々に帰る手段はエレベーターが3基。パルコビルの9階にあり、下の店舗が閉店しているので階段も使えません。「階段、ないの〜?」と裏をのぞいたら従業員用のエレベーターがあり、こっそり乗せてもらっちゃって降りましたが……(^_^;)
 



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2008/12/08  (月) 

伝通院

ハンドベルのコンサートがあったのは文京シビックホール。地下鉄「後楽園」駅のすぐ前にあります。そして、建物の前の富坂をあがっていくと、伝通院があります。新選組になる前の浪士隊が京へ上る総決起集会が行われたのがこの伝通院。時代小説などでもおなじみの名前ですね。クルマでは何度も前を通り過ぎたことがあるのですが、足を踏み入れたことはなく、いいチャンスだと思って出かけてみました。まったく個人的なことですが、母の生まれたのがこの近く(^_^;)
 本名は無量山傳通院寿経寺というそうですが、普通は小石川伝通院などと呼ばれているようです。大通りからちょっと右に入ったところに門があり、それをくぐると……。案外、小さなお寺だったのでちょっと驚きました。徳川の菩提寺で、浪士隊が集まったところだというので、すごく大きなお寺を予想していたのです。小石川は空襲で焼け野原になったと聞いていたので、きっとこのお寺も焼失したのでしょう。彰義隊結成の場ともなったといいますから、その前に新政府に解体されたのかな。古いお寺だけにお墓所は広く、徳川家康の生母於大の方の墓をはじめ江戸時代から残る墓石もかなりあるようです。「伝通院」というのは於大の方の法名だそうです。
  
永井荷風が「パリにノートルダムがあるように、小石川にも伝通院がある」といったのは、明治時代ですから、明治の頃はまだ威風堂々としていたのかもしれませんね。江戸時代のいろいろな人物のお墓の案内がありましたが、そんなに有名な人はいないようです。私が知っているのは清河八郎ぐらいでした。不勉強なだけってことかも(-_-;) 

 

最近?の人では、柴田錬三郎や「指圧の心は母心」の浪越徳治郎が眠っています。ああ、それで指塚。隣に浪越徳治郎が創立した日本指圧専門学校がある縁で、浪越さんが指塚を寄贈したのだそうです。なんだか、すごい指で……(笑)
 
途中に「礫川小学校」がありました。そういえば駅前に「礫川公園」。なんと読むのでしょうか。つぶてがわ? 気になって、気になって、富坂警察署の前を通ったら、おまわりさんが警棒をもって踏ん張っていたので、聞いてみました。「れきせん、瓦礫の礫でしょ」と教えてもらいました。確かに。漢検何級ぐらいでしょうかね?(笑) 「音読みか……」と思いながら坂を下ると「礫川浮世絵美術館」という案内が出ていて、「こいしかわ」とルビがふってありました。「!」という気分です。むかしはこの字を当てたのでしょうか。瓦礫、つぶて、小石……、「なるほどね」という感じ。帰ってから、葛飾北斎の冨嶽三十六景の「礫川 雪の旦(こいしかわ ゆきのあした)」は、ここらあたりからみた富士山の絵だということを教えられました。見たことないかも(^_^;)



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2008/12/07  (日) 

ハンドベルコンサート

筑波大学附属盲学校(現/筑波大学附属視覚特別支援学校)ハンドベルOG会「あかね」のコンサートに行ってきました。今回が2回目の公演です。前回は日本ハンドベル連盟に所属するアーティストのグループ「グレイス・ハンドベル・クワイア」がゲストでしたが、今回はこのグループに加えて、知的障害者支援施設「福島おおなみ学園」の「ハンドベルリンガーズ」を加えたダブルゲスト。テーマは「ハンドベルと開く共生の扉」ということで、子どもたちへのハンドベル体験コーナーもあり、なかなかに充実したコンサートでした。
 
「あかね」に友人がいるので、2年に1回ぐらいですが、ハンドベルの音色に接するようになりました。ハンドベルは、ベルを振って音を出すばかりではなく、叩いたり、打ちつけたりしてさまざまな音色を楽しませてくれます。今年は、ハンドチャイムという新しい音も聴かせてもらいました。涼やかな優しい音色のハンドベルと、澄んだきっぱりしたハンドチャイムのハーモニーも素敵です。はじめて聴かせてもらったときは、友人が演奏するので「落としはしないか(そそっかしい人なんですよ(笑)」、「間違えはしないか」といらぬ心配をしてドキドキしましたが、「あかね」の実力がわかってきたいまでは、ゆったりと演奏曲を楽しませてもらっています。
 
ご存知の方も多いかと思いますが、ハンドベルは小さなベルが高音、大きくなるほど低音域の音を出し、これが組み合わさって旋律をかもしだします。大きなベルはけっこう重くて、両手で持ってもなかなか体力が必要なような。主旋律を演奏しているようなポジションは、3つか4つのベルを持ち替えては奏でるのでかなり忙しそうです。だからというわけでもないのでしょうが、曲目ごとにポジションチェンジをしていました。ハンドベルは絶対にソロはないんですよね。手が10本ぐらいある宇宙人でもなければ不可能(笑) 仲間の奏でる音を一生懸命に聴きながら演奏するだと思います。一生懸命、でもみんなすごく楽しそうに演奏しているので、聴いて、見ているほうも心がぽかぽかする感じです。
 
ハンドベルの楽譜はピアノの楽譜に似たものなのだそうですが、これは音符がいっぱい並んでいますよね。「福島おおなみ学園」の「ハンドベルリンガーズ」は、楽譜の読めない人のために独自の楽譜を開発して使用しているそうです。帰りがけに園長先生にちょっと楽譜を見せていただき、お話を伺いました。音符のまったく出てこない楽譜で、ひとりの演奏者には「その人が鳴らすところだけ」を並べたものを渡すのだそうです。自分の番がきたら、自分のベルを振るだけ。それでハーモニーが生まれるのですから、私にもできるかな、とか(^_^;)
 
「グレイス・ハンドベル・クワイア」は、さすがにクオリティが高いです。16人の演奏で、ひとり当たりのベルの数も多いし、ベル以外にも鈴や打楽器をちょっと効かせて、伸びやかで美しい演奏を聴かせてくれました。12月23日にクリスマスコンサートをなさるとか。行ってみたいなと……。最後の1曲は全員の合同演奏。グレイスが16人、あかねが12人、おおなみ学園が10人、合わせて38人。ひとりでいっぺんに3つとか4つを操る演奏者もいるので、ベルの数は80個ぐらいになります。これは壮観! ハンドベルって、もちろん1年中、いつ聴いてもいいのですが、なんだかとてもクリスマスに似合うような気がします。
 



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2008/12/06  (土) 

身代り不動尊

縁起堂本舗の扱っているお守りの中でも「身代わり瓢箪」は人気があるようですが、事故や事件に巻き込まれそうになったとき、身代わりになってくれる存在があるなんて、ありがたいような、怖いような……ものですね。

  

身代わりの本家本元のような身代わり不動尊の本山が溝口の近くにあると聞き、南武線に乗る用事があったので、ついでといっちゃーナンですが、立ち寄ってみることにしました。正式名称は、身代わり不動尊大明王院川崎本山という真言宗のお寺です。元禄の頃に武蔵の国荏原郡に悪疫が流行、祐天上人が不動尊を信仰するように人々に教えたところ悪疫が去ったという言い伝えがあるとか。その霊験に感謝してお堂を建てたのが現在の大明王院のはじまり。いまでは厄除や交通安全の身代り不動として人気があり、初詣などは大変な賑わいだそうです。
 

田園都市線の「梶ヶ谷」駅から行くのが普通らしいのですが、南武線の「津田山」からも行けそうだったので、そこで電車をおりました。そして、迷い道ふらふらということに(-_-;) 住宅街であまり人影も見かけず、「帰ろうかな」と思ったところで犬の散歩中の方に出会い、道を教えてもらいました。わかりにくいから、一度、国道246に出なさいと。ぐるっと遠回りでずいぶん歩かされましたが、やっと「身代わり不動尊」という大きな看板を発見。銭洗い弁天はあるのですが……。
周囲を見回してもお寺らしきものがなく……。自分が「お寺とはこういう建物」という固定観念にどっぷり浸かっていたことがわかりました(^_^;) 「なんだか派手なマンションだなぁ」と思っていたのが、大明王院でした。お参りするには、中へ入って祈願料を払うとか、なんだかいろいろ手続きが必要なようです。

迷ったおかげで時間がなく、外からお参りさせてもらいましたが、大きなお賽銭箱の先に小さな窓がはめ込まれていて、そこからはるか遠くの祭壇らしきものが見えるだけ。ここで参拝してもご利益はないかなぁ……と思いながらも、時間がないので(笑)  私はちゃんとご祈祷されているという縁起堂本舗の身代わり瓢箪に頼ることにします(^_^;)

 

帰りも津田山に出たのですが、今度は方向がわかっていたので簡単に到着することができました。ご利益? なんのことはない、行って、見てきただけ、というミニトリップでしたが、暖かい昼下がりにまだ白菜畑などが少しばかりは残っている路地散歩と思えば、なかなかに楽しい1時間あまりの旅でした。



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漢方薬
「252 生存者あり」