ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2011/05/23  (月) 

那智の滝

那智の滝は、勝浦町の那智川にかかる滝。駐車場から歩いていくと、樹木の間から姿を現す一筋の雄大な流れが目に飛び込んできます。この「一の滝」の落差は133メートルに及び、単独の滝では落差国内1位だそうです。華厳の滝、袋田の滝とともに日本三名瀑に数えられている滝。
 
私の妹は自称「滝フェチ」ですが、フェチではなくても、一度は眺めてみたい風景でした。那智山中にはいくつかの渓流があり、60以上の滝があるそうですが、「那智の滝」とは、この滝のうち、瀧修行の場とされた48の滝を合わせた総称だそうです。そういえば、「那智四十八滝」ともいわれますね。

 

 しかしながら、一般に「那智の滝」といわれるのは「一の滝」のこと。滝に対する自然信仰の聖地です。入り口の広場からも滝は見えますが、滝は広場の横にある飛瀧神社の神体。境内にある滝見台からなら、間近にその姿を見ることができます。そして、入場料が300円です(笑) 入場料なんて言ったら怒られますね、拝観料……かな。
 
周囲の深い森の中にある48の滝には、番号とさまざまな宗教にいわれのある名前がつけられています。明治の神仏分離令・修験道廃止令によって、神仏習合的な信仰が失われると、所在や名称も不明となっていたものが多かったとか。90年代に、残されていた古文書などを手がかりに、再発見に成功したとのこと。勝浦温泉の「浦島」というホテルに48滝すべての写真が展示されていました。
 



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2011/05/22  (日) 

那智大社&青岸渡寺

参道の石段が、また長い、長い! 息を切らして上がった先は、右に青岸渡寺、左は鮮やかな朱色の大鳥居から那智大社の境内へと分かれます。神社とお寺が同じ敷地に隣りあわせというのは、ありそうでいてかなり珍しいのではないかと思います。明治時代に神仏習合が廃止されたとき、熊野本宮大社と熊野速玉大社ではお寺はすべて破壊されましたが、熊野那智大社では如意輪堂がひっそりと生き残り、のちに信者の手で青岸渡寺として復興されたそうです。明治の国家神道政策というか、廃仏毀釈はものすごいものがあったようですねぇ。
 
その青岸渡寺は、4世紀頃、天竺から渡来した裸形上人が開基という伝承があります。裸形上人が那智滝の滝壺でみつけた金の如意輪観音を本尊として安置したのだとか。連れは「この辺にくるなら、古事記を読みなさい!」といいますが、私は青岸渡寺を訪れ、頭の中で「妖星伝」がグルグルまわってました。教養の差といいますか、なんといいますか(^_^;)
 
青岸渡寺の裏から、那智の滝を遠く展望することができます。那智大社の社殿はいまは山の上にありますが、もともとは滝を祀ったもので、自然信仰の場として早くから開けていたようです。滝でも岩でも八百万を拝んじゃうのが古代日本のもっとも日本らしいところではありませんか! 那智山から下った那智浜には補陀落渡海の拠点となった補陀洛山寺があります。いまは観光化された普通の神社仏閣という感じですが、伝承といい、名称といい、古代のロマンを感じます。
 



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2011/05/21  (土) 

めはり寿司

野古道は、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)への参詣道の総称、全長700キロと聞きましたが、国道や市街地の道にと吸収されてしまったものもあり、すべてが私たちのイメージする「古道」ではありません。参詣道として国の史跡になっているのは主に紀伊路(渡辺津〜田辺)、小辺路(高野山〜熊野三山、中辺路(田辺〜熊野三山)、大辺路(田辺〜串本〜熊野三山)、伊勢路(伊勢神宮〜熊野三山)の5道で、紀伊路以外は世界遺産にも登録されています。
 
熊野古道の特徴は石畳が残っていることですが、あちこちに痕跡を残す熊野古道の中で、「観光的」に「歩いてみなさいよ」というのが上記の5道ということになるでしょう。その中で那智大社への入口ともなっている大門坂を歩いてみました。というか、登ってみましたというか。大門坂の入口には無料の「貸し杖」も用意されています。山道に心得のある方々は2本借りて上手に登っていきます。私は見栄を張って?杖は借りなかったのですが、まあ、正直なところ、このぐらいの距離なら杖は不要でしょう(笑) ほとんどの観光客はクルマで大社の駐車場」まで上がってしまうそうですが、もったいないですよ〜。全長約500メートル、高低差約100メートルの石畳と樹齢800年を超す老杉に囲まれた坂道は、20〜30分で登りきり、往時の古道の雰囲気が楽しめます。
 
古道を歩く前に力をつけなければと、名物の「めはり寿司」をいただきました。要するに浅漬けの葉っぱで包んだおにぎり。こういうものが好きなんですよ(笑) 広島菜が一番の好物ですが、この辺りでは高菜。もともとは麦飯だったそうですが、いまは白飯。私が食べたのは、観光客用のレストランですから、上品に?小さくまとまっていましたが、ソフトボールぐらいの大きさがホンモノだそうです。朝、出かける前に大急ぎで作るので、大きな葉っぱに一気に包んで一丁上がりというファストフード的お弁当でした。「めはり」の名称は「目を見張るほどの大きさ」、「目を張るように口を開ける」、「目を見張るほどおいしい」からと諸説ありますが、おにぎりに目張りするよう完全に包み込むことに由来するという説もあるようです。
 



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2011/05/20  (金) 

八咫烏

八咫烏といえば、ん? サッカー? という感じなのですが、本家本元はこっち。熊野本宮大社です(笑) 熊野本宮大社の主祭神は何を象徴しているのかよくわからないようですが、太陽の使いとされる八咫烏を神のお使いとすることから太陽神が祀られているという説があるとか。神様よりお使いばかりが名を馳せているという感じです。八咫烏は、日本神話で、神武東征の際に、高皇産霊尊に遣わされ、道案内をしたとされる烏。3本足のカラスとして古くから知られていますが、いまは神使としてよりもサッカー日本代表のお使いとしてのほうが有名ですよね。
 
入口には大きな八咫烏の幟が掲げられています。ホントにもう、神社というのはどうしてこうも高いところが好きなのでしょうと思うくらい石段がつきもの。こちらも鳥居をくぐると、歩き始める前にいったん息をつきたくなる石段が目の前に立ちはだかります。ところが、1889(明治22)年に熊野川の大規模な洪水で流される前は、、熊野川の中州にあったそうです。なんで、引越したのよ〜(^_^;) いやいや好きで引っ越したわけではない……、明治以後、近代化のために急激に樹木の伐採が行われ、山林の保水力が失われた結果の被害者ですから。
 
熊野本宮大社の3棟が国の重要文化財に指定されています。これらの社殿は洪水で流されるのを免れ、現在の場所に移築されたもの。解説には、特徴として「入母屋造屋根を用いる点、木割が太く、装飾の少ない簡素な構成とする点に、床下に連子窓を設けるなどの細部形式の特色があげられていて、形式や配置は中世の絵画資料にみられるものと一致し、古くからの形式を保持していることがわかる」とあります。しかし、上の鳥居をくぐったあとは、撮影禁止。とはいえ、背景に記念写真を撮っている人々も何人かいたので、私もちょっと隠し撮り(笑) 
 
境内にもあちこちに八咫烏がいます。この辺では、カラスを追っ払ったりしてはいけないのでしょうかね? 八咫烏の咫は長さの単位で、「あた」と読むそうですが、親指と人差指を広げた長さだそうです。現代語に直すと約18センチ。八咫烏は144センチ? ではなく、ここでいう八咫は単に「大きい」という意味。日本語はよくこういう表現がありますね。八咫烏が3本足なのは、古来は太陽を表す数が3とされてきたことに由来するとするとか、熊野本宮大社の主祭神の神徳「智」「仁」「勇」の三徳であるとか、「天」「地」「人」を表す[とか、いろいろなことが言われているようです。
 



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2011/05/19  (木) 

温泉玉子

道からちょっと外れた四村川の岸辺に小さな温泉街があります。温泉旅館が15軒並ぶ湯の峰温泉。共同浴場がふたつあり、そのうちのひとつが日本最古の共同浴場と言われる「つぼ湯」です。川岸に小屋があり、2、3人が入れば満員になるという岩穴温泉で、伝説の小栗判官がここでケガを回復させたと説明されていますが、そもそも小栗判官って誰?(笑) 温泉に入るためには下流の共同浴場で申し込みをして、順番待ち。1日に7回お湯の色が変わるという「つぼ湯」ですが、人が入っていなくても内部の撮影は不可でした。
 
「つぼ湯」の少し下の川岸に「湯筒」という源泉が噴出しているところがあります。かなり熱いのでうかつに触らないように囲いがしてありますが、ここで温泉玉子や茹で野菜を作ることができるそうな。近所の店で卵や野菜を売っています。玉子なら15分ほどで茹で上がるということなので、温泉に玉子をしかけ、温泉街の上にのびる熊野古道を散策するというのが一般的な楽しみ方? 熊野古道は全部あわせると700キロにも及ぶといいますが、ここらあたりは山の中の小道が続いているという感じで、なるほど「古道」の雰囲気が味わえます。
 
湯の峰温泉の名前は、湯の花でできた薬師如来の胸から温泉が湧いていたという伝説にに由来し、「湯の胸」が転じて「湯の峰」となったそうです。14世紀頃には湯垢離による潔斎の場として熊野詣の前にゆっくり湯浴みする習慣がはじまったとか。潔斎とかいえば「これも修行のうち」なんて言いそうですが、要するに本番前に「やれやれ」と旅の疲れを癒すところだったのでしょう。名前の由来になった湯峯薬師をまつる「東光寺」や熊野九十九王子のひとつ「湯の峰王子」が温泉街を見守っています。
        

 



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西門院
「スウィーニー・トッド」